神経系での痒みの基礎研究により、いろいろな分子の役割が明らかとされている。特に脊髄後角は感覚神経が入力する領域であり、脊髄後角に発現する分子のうち、痛みに寄与する分子以外の分子に着目して研究を進めた。具体的には、脊髄における痒み受容体として最も知られている受容体であるGRPR(ガストリン分泌ペプチド受容体)と、本研究で標的とするオーファンGPCRの一つであるGPR83である。これらの分子の関連性の検討により、多様な疾患により誘発する慢性掻痒症の解明につながる可能性が予想される。神経系における痒み伝達における分子の役割を明らかとすることが、新たな痒み改善薬の開発につながることが期待できる。
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