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2020 年度 実施状況報告書

糖尿病を母体とする肝細胞癌発症機序の解明ーVEGFを分子標的とした戦略

研究課題

研究課題/領域番号 19K07892
研究機関鹿児島大学

研究代表者

中島 一壽  鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 医員 (30838610)

研究分担者 山口 宗一  鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (20325814)
大山 陽子  鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 医員 (20583470)
竹之内 和則  鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (30646758)
橋口 照人  鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (70250917)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード肝細胞癌 / 2型糖尿病 / NASH / VEGF-A
研究実績の概要

研究代表者は2013年5月から5年余り専ら肝臓内科医として公益社団法人鹿児島共済会南風病院で臨床に携わってきた。その後、鹿児島大学医歯学総合研究科に進学後も肝臓内科医として臨床経験を積んでいる。今回、背景が非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH)ではない糖尿病のみの患者からの肝細胞癌を我々は臨床病理をとおして12例経験した(アルコールが原因と考えられた症例を除く)。近年増加傾向にある 非B非C肝細胞癌における糖尿病のリスク因子を解明し、肝細胞癌で苦しむ患者とその家族に貢献したいと考えている。研究代表者の知見では、NASH例と非NASH例において血小板数に有意差を認めたことから、血小板内の因子がNASHからの肝細胞癌の発症に関与しているという仮説を立てた。血小板内には、癌の進展に関与する多くの増殖因子が含まれるが、その中でも血管内皮成長因子(VEGF)からのアプローチにより肝細胞癌の発症要因を解明する糸口にしたいと考え、現在研究進行中である。初年度では、糖尿病背景またはNASH背景の肝細胞癌患者の検体をそれぞれ収集中であり、その中で数例の検体についてパイロットスタディを行った。肝癌切除組織の免疫系細胞浸潤を免疫組織染色したところ、興味深い知見を得ることができた。この知見をもとに今後は、炎症関連分子について、組織染色、ウエスタンブロットなどによる解析を行っていく予定である。また初年度は脂肪細胞の培養について予備実験を行ってきた。R2年度は肝細胞癌患者の血液検体を用いて各血液成分中のVEGFアイソフォーム分画の測定、エクソソーム内包マイクロRNAの測定をすることで、抗がん剤による各種治療がVEGFおよびマイクロRNAに与える影響に関して検証する計画を立てた。血液検体と肝細胞癌細胞株、内皮細胞株と共培養することでVEGFやマイクロRNAが血管新生に与える分子生物学的機序の解析を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

糖尿病を背景とした肝細胞癌の病理・臨床的特徴とウイルス肝炎背景肝細胞癌との比較検討を行った。糖尿病を背景とした肝細胞癌はNASH合併例のみならず、非NASH例からもみられたことから、糖尿病背景肝細胞癌患者の肝癌切除組織や血清を使用して、VEGF-Aとの関連性を解析中である。また糖尿病を背景としたNASHのVEGF-Aとの関連性も検討中である。研究代表者が臨床医としても医療に携わっているため、昨年度より臨床業務および新型コロナ対応で多忙となり、当初の計画より遅れている状況である。

今後の研究の推進方策

次年度は引き続き以下の3点についての研究計画を立てている。 1.培養T細胞としてMT1細胞を使用し、リコンビナントVEGF-A、-B、-Cを添加して、細胞からのサイトカイン分泌能、細胞表面マーカー(CD4/8、CD17など)の発現、細胞増殖能の変化を検討する。 2.PMA刺激でマクロファージ系細胞に分化したTHP-1細胞と肝癌細胞株HepG2細胞を使用する。これらのサイトカイン分泌能、細胞表面マーカー、増殖能については同様に測定する。次に、マクロファージ様THP-1細胞、HepG2細胞に各種脂肪酸(飽和、不飽和脂肪酸)を添加して、脂肪細胞様の変化がみられるかを検討する。また、適宜グルコースも添加して培養しNASHと同様の形態変化について検討を加える。VEGF-A, -B, -Cの産生能、VEGF 受容体の変化についても検討する。 3.分化させた培養ヒト脂肪細胞とTHP-1、HepG2を共培養を行い、2.と同様の検討をする。 4.近年、細胞から分泌される細胞外小胞の中で細胞間コミュニケーションの役割をもつエクソソームが注目されている。そこで、VEGF-A刺激によりMT1細胞、THP-1細胞から分泌されるエクソソームの検討(マイクロRNAの定量)を行い、免疫系への関与を探索する予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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