杏林大学脳卒中センターにおいて血栓回収療法を実施した連続133例(2019年~2023年)について灌流画像による虚血コア判定とASPECTSによる早期虚血病変の関連を検討した。虚血コアサイズ70mLに相当するASPECTSスコアは5点であった。NIHSSで評価した脳卒中重症度とは虚血コアとペナンブラの合算体積が関連している。血栓回収療法後の転帰良好(mRS 0-2または病前mRSレベルへの回復)にはASPECTS評価部位の中ではM3およびM5領域との関連が示唆された。とくに一次運動野を含むM5領域が虚血範囲に含まれる場合、同部の再灌流を得ることが転帰改善に大きく影響する。 本研究の結果から、急性期脳梗塞に対する脳画像所見に基づく治療、すなわち tissue-based therapyにおいて重要となる、実践的な虚血コアサイズの評価法を提唱した。脳の機能局在を考慮することで、より適切な治療方針の決定、ならびに転帰改善に重要とされる一次運動野への血流再開に重きを置くべきことを明らかにした。Clinical symptom-Core location Mismatchという概念を提唱することで簡便かつ迅速な治療選択が可能となった。
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