研究課題/領域番号 |
19K08056
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
吉村 匡史 関西医科大学, リハビリテーション学部, 教授 (10351553)
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研究分担者 |
北浦 祐一 関西医科大学, 医学部, 講師 (10632804) [辞退]
木下 利彦 関西医科大学, 医学部, 教授 (20186290)
砂田 尚孝 関西医科大学, 医学部, 非常勤講師 (30809398)
西田 圭一郎 関西医科大学, 医学部, 非常勤講師 (40567567)
池田 俊一郎 関西医科大学, 医学部, 講師 (40772231)
嶽北 佳輝 関西医科大学, 医学部, 准教授 (70548403)
新道 賢一 関西医科大学, 医学部, 助教 (80784561)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 経頭蓋直流電気刺激法(tDCS) / レビー小体型認知症(DLB) / アルツハイマー型認知症(AD) / 意欲低下(アパシー) / 認知症の行動・心理症状(BPSD) / 定量脳波 / LORETA / EEG microstate |
研究実績の概要 |
倫理審査申請の準備中である。対象となる参加者へのスクリーニングを実施しているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響と考えられる受診者数の減少もあり、進捗は遅れている。 現在のところ、本研究で用いる手法である経頭蓋直流電気刺激法(tDCS)に関する当施設での先行研究データ(脳波データ、心理検査結果など)の解析を継続している。その一環として、当施設に外来通院中のうつ病患者10名に対してtDCSを実施すると同時に脳波を測定し、tDCS施行前の脳波と定量的に比較することで、tDCSの効果の生理学的な解明を試みた。tDCSの刺激部位は陽極電極を内側前頭前野(AFz)、陰極電極は左鎖骨に設定し、1mAの陽極刺激を20分間、刺激範囲は約20平方cmとした。脳波定量解析にはLORETA(low resolution brain electromagnetic tomography analysis)を用いて、電流源密度解析とFunctional Connectivity解析を実施した。その結果、tDCS施行中においてAFz刺激により安静時と比較して前頭部の電流源密度の上昇を認めた。またFunctional Connectivity解析では、tDCS施行中において、安静時と比較してθ帯域(4.5-7.5Hz)におけるright anterior insula, right dorsolateral prefrontal cortex, anterior cingulate cortexでの機能的連結の上昇を認めた。これらの結果は、tDCS施行によって前頭葉に活動の亢進および修飾がもたらされたことを示唆し、これらの部位はうつ病の病態とも関連することから、tDCSがうつ病の病態に対して何らかの治療的効果をもたらす可能性を示すと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は臨床研究法における特定臨床研究に該当することから、倫理審査申請に時間を要している。また、緩和されつつあるが、COVID-19に伴う参加者スクリーニングの困難さも本研究の進捗に影響したと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
参加者のスクリーニングやtDCSの使用への習熟を図りつつ、本研究の遂行に関連する最新の治験の収集を継続する。令和4年度の途中には、研究分担者の一人でありtDCSに関して多くの業績を残している西田圭一郎が、本学非常勤講師から常勤の教員として帰向する予定である。そのため令和4年度は、従来に比較して本研究の進捗が期待できる状況である。なお、現行の研究計画にて倫理審査申請が困難な場合は、既存の認知症疾患(レビー小体型認知症、アルツハイマー型認知症)の脳波データ解析など、研究計画の見直しも考慮する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由として、研究の進捗が遅れていることに加えて、学会等の中止やオンライン開催が多く出張費の支出が少なかったことが考えられる。今後は、研究を進捗させることで適切な研究費の使用を実行する。また、徐々に現地開催の学会も増える見込みであるため、出張費の支出も多くなることが予想される。
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