研究課題/領域番号 |
19K08093
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
尾崎 翔 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (60615326)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 深層学習 / モダリティ変換 |
研究実績の概要 |
本研究ではCTの画像再構成法である逐次近似法と深層学習を組み合わせた手法を開発している。画像のGeneratorとしてencoder-decoderを採用し、正則化項には、投影データとの整合性を課す項に加えて低画質画像と高画質画像を見分けるDiscriminatorを導入している。しかし画像再構成とGenerator及びDiscriminatorの学習を同時に行うと計算コストがかかる。学習を効率的に進めるために、本年度はGeneratorとDiscriminatorの事前学習を行った。学習方法としてはCycleGANをさらに拡張した枠組みを開発して用いた。この方法はCT画像変換だけでなく、例えばMR画像からCT画像への変換など一般のモダリティ変換に適用可能である。構造保存や高画質化を促すように設計されたコスト関数を導入し、少ない学習データでも高い性能を示すモデルを得た。このモデルを用いて、MVCT画像からkVCT画像の変換を行うことによってMVCTの画質改善を行った。変換された画像において、各組織のCT値やヒストグラム、組織間のコントラストが改善していること定量的に示した。また、Ground truthが存在しない場合の画質の評価指標を新たに開発し、ノイズ低下などの定量評価を行った。さらに、学習で用いるデータサイズ依存性を調べ、学習データ量とともに結果が収束していることを確かめた。これらの結果に基づいて、現在論文を執筆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
画像再構成と深層学習モデルを同時に学習する際に、計算コストがかかることが問題となったが、GeneratorとDiscriminatorを事前学習することによってその問題を解決できた。事前学習には、東大病院に蓄積された大量のMVCT画像及びkVCT画像を用いることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度に開発したモダリティ変換のモデル内で事前学習したGeneratorとDiscriminatorを再構成モデルに組み込んでいく。また、MVCTだけでなくCone-Beam CTなど他のモダリティでの画質改善も行い、その臨床応用を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で使用計画にずれが生じた。計算に必要なコンピュータの購入など物品費に変更したがわずかに次年度使用額が生じた。来年度もコロナの影響は続くと思われるが、必要な計算資源やデータ保存のためのハードディスクなどの購入に充てる予定である。
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