近年がん免疫療法の有効性が期待されているが、既存の診断法ではその治療効果を治療開始後早期に判断することは困難であり、治療方針決定の妨げとなっている。そこで本研究課題では、がん免疫療法の治療効果早期判定を可能とする画像診断法の開発を目的とした。 研究期間の最終年度である当該年度には、前年度に引き続き、免疫応答時に腫瘍細胞表面に形成するパーフォリン重合体を標的とした新規画像診断プローブの放射標識合成法を複数検討し、それらのうち炭素-11標識体を再現性良く得る方法を確立した。得られた炭素-11標識体の体内動態を担がんモデル動物を用いて評価したところ、炭素-11標識体の腫瘍集積は投与後経時的に増加し、対照組織である対側の筋肉と比較して高値であることが示された。 研究期間全体を通じ、研究開始当初に設計した新規画像診断プローブ候補化合物の放射標識体の放射標識法では目的とする放射標識体が効率よく得られないことが判明したが、複数の候補化合物の複数の放射標識合成法に対する種々の条件を検討することにより、炭素-11標識体を再現性良く得る方法を確立した。さらに、担がんモデル動物を用いた体内動態試験およびPETイメージング実験により、得られた放射標識体が腫瘍の画像診断プローブとして有用である可能性を示した。今後、開発した画像診断プローブの腫瘍集積性と治療応答性の関係性をより詳細に解明することで、がん免疫療法の効率化への貢献が期待される。
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