我々はこれまでに、放射線は多くの癌細胞株の浸潤抑制に効果的であるが、PANC-1では細胞全体の中に「放射線抵抗性浸潤細胞」が存在するため、照射を受けてもそれら細胞が浸潤や転移のリスクになり得ることを示した。そこで本研究にてさらに7種類の乳がん細胞株を調べたところ、MDA-MB-468とSUM149にも浸潤細胞集団が存在することを見出した。しかしこれら浸潤細胞は放射線抵抗性ではなかったため、放射線で効率よく殺傷できる事が示唆された。さらにこの「高浸潤細胞」は全体の集団と比べ著しく解糖系に依存した代謝系を持つこと、そのため解糖系の阻害剤で「高浸潤細胞」の浸潤能を効率良く抑制できることを見出した。
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