妊婦がサイトメガロウイルスに初感染すると、胎盤を経由して胎児にウイルスが移行し、胎児は神経学的異常を呈する重篤な先天性サイトメガロウイルス感染症を発症する。しかしながら、サイトメガロウイルスが神経機能と脳の発達に与える影響は、ほとんど解明されていない。 サイトメガロウイルスを神経系細胞に感染させると潜伏感染関連タンパク質ORF152を発現し、ORF152がCAMLと結合することで、神経系細胞内カルシウム濃度を上昇させることを見出した。また、ORF152は、カルシウムシグナル伝達を修飾し、神経変性を引き起こしている可能性が示唆され、先天性サイトメガロウイルス感染症の病態の一端を解明できた。
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