研究実績の概要 |
本研究において、我々は上葉優位型肺線維症(PPFE)52症例の臨床・画像・病理所見の解析・報告し(2018)、これらのデータをもとに本疾患の臨床診断基準案を報告した(2019)。この診断基準案を評価する目的で、当科の症例を用いて検証し、有用性を報告した。その他PPFEにおける肺動脈の病理学的特徴(2020)、有望な血清マーカーになりうる物質(2020)、PPFEの病理組織像における肺胞虚脱の機序(2020)について報告した。今年度は、これらの実績を踏まえてPPFEの肺病理組織像についてまとめて発表した(Kinoshita Y, Ishii H, Nabaeshima K, Watanabe K. Histology Histopathology, 36 (3): 291-303, 2021)。さらに、PPFE患者の努力肺活量、気胸の合併や既往、下葉の間質性病変、血清KL-6レベルに着目し、これらをスコア化することで、臨床的に有用と思われるPPFEの予後予測モデルを作成・検分して報告した(Kinoshita Y, Ikeda T, Miyamura T, Ueda Y, Yoshida Y, Kushima H, Fujita M, Ogura T, Watanabe K, Ishii H. Respiratory Research, 22 (1): 215, 2021)。現在、国内多施設による共同研究として多数の症例が集積されつつあり、上記血清マーカーの測定や原因遺伝子検索の準備を進めている。
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