研究課題
気管支喘息は、気道炎症の観点からみて好酸球優位型、好中球優位型、顆粒球寡少型、混合型といったフェノタイプに分類されることが分かっている.我々は、これまで喀痰及び血清H2S濃度が健常者と比べて気管支喘息患者で上昇しており、喀痰中好中球割合や気流閉塞との関連があることを明らかにしてきた.これをふまえて、2015年~2018年にかけて東京都品川区にあるジェイエムエス(株)と共同で研究開発を行い、リアルタイムに呼気中硫化水素(FeH2S)濃度を測定する装置を新たに開発して国内特許を取得した.現在国際特許を申請中である.そこで、本研究の目的として、実際に福島県立医科大学呼吸器内科通院中の気管支喘息患者に、この新規開発したリアルタイムFeH2S測定システムを用いて好中球性気道炎症をモニタリングするとともに、日常診療で既に利用されている好酸球性気道炎症をモニタリングする呼気一酸化窒素(FeNO)も同時に測定することで、上述のような気道炎症のフェノタイプ分類を行い、気管支喘息のコントロールや急性増悪、治療効果予測に利用できるか否かを検証する研究を行っている.
3: やや遅れている
2019年は本研究の初年度にあたる.研究計画書にのっとり、2019年6月から12月までに約100名の気管支喘息患者を対象にリアルタイムFeH2S測定、FeNO測定、呼吸機能検査、血液検査、喀痰炎症細胞分画検査、喘息質問票(ACT/ACQ)を行う予定であった.しかし、登録期間中に予期せぬ機器のメンテナンスなど測定できない期間が生じ、2019年12月までに46名の登録にとどまった.そこで、登録期間を延長して目標症例数(100名)まで目指すことにした.なお、すでに登録が完了し、経過観察を行っている気管支喘息患者に関しては、経時的に上記検査を行うことで3年間のフォローアップしている状況である.
上述のごとく、引き続き目標症例数である気管支喘息患者100名を目指して、新規気管支喘息患者のリクルートを行うとともに、すでに登録した気管支喘息患者に関しては引き続き3年間のフォローアップを行う予定である.
(理由)国際学会費用(旅費)に充てようとしたが、予想よりも物品費の購入費用がかさみ、科研費で旅費の一部しか申請しなかったため.(使用計画)次年度の物品購入費用にあてる.
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (27件) (うち国際学会 3件、 招待講演 16件) 産業財産権 (3件) (うち外国 2件)
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