研究課題/領域番号 |
19K08709
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
平和 伸仁 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 准教授 (20315766)
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研究分担者 |
藤原 亮 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 助教 (20733447)
坂 早苗 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 助教 (90723320)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ATP2B1 / 尿細管 / 血圧 |
研究実績の概要 |
我々は、CaポンプであるPMCA1の遺伝子であるATP2B1が、ヒトミレニアムプロジェクトにより本態性高血圧の重要な候補遺伝子であることを報告してきた。そこで、Cre-loxpシステムを用いて、ATP2B1発現を抑制したマウスを作成し、in vivoにおけるATP2B1の役割を明らかにすることで、本態性高血圧の発症メカニズムの解析とともに最適な治療薬の研究開発を進めている。すでに、ATP2B1は、血管平滑筋および全身で発現を抑制することにより、血管平滑筋細胞内Caを上昇させ、血圧上昇に寄与することを明らかにしてきた。さらにその治療にはCa拮抗薬がより特異的に治療効果が高いことも証明した。 一方で、高血圧発症にかかわる中心的臓器である腎臓におけるATP2B1の役割は明らかでなかった。本研究では、尿細管におけるATP2B1の役割を明らかにするために、尿細管特異的なATP2B1KOマウスを作成して、その意義を明らかにすることを目的とした。ATP2B1 exon10をtargetとしてloxpで挟み込んだloxPマウスと遠位尿細管(~集合管)にCreを発現すKSP(cadherin16)マウスを用いて、 尿細管特異的ATP2B1ノックアウトマウスを作成した。本マウスはの尿細管で、ATP2B1の発現が低下していることを免疫組織科学的、mRNA発現量で確認した。本マウスは、体重も腎重量もコントロールマウスと同等であった。テイルカフ法を用いた血圧測定では、KOマウスとコントロールマウスに血圧の差を認めたかった。そこで、テレメトリー法を用いて不拘束、自由行動下での血圧測定をしたが、測定できた範囲では、有意な血圧差を認めていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ATP2B1を特異的に欠失させた尿細管特異的KOマウスが作成され、尿細管におけるATP2B1の欠失が致死的でないことがあきらかになるとともに、生育はすることが明らかになった、まら、同マウスの遠位尿細管から集合管にかけれそれらが欠失していること、腎臓でのmRNAが低下していることが証明されている。血圧測定も順調に行うことができ解析可能であった。
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今後の研究の推進方策 |
ATP2B1尿細管特異的KOマウスは、高血圧を呈することがなかったため、尿中の電解質や水の動きへの影響を調べる必要がある。さらに、食塩負荷における血圧や水・電解質影響を明らかにすることで、ATP2B1の腎臓への意義が明らかにされると思われる。よって、今後、マウスを増やすとともに、代謝ゲージを用いた電解質の解析など詳細な検討を行う。また、さらも食塩負荷による影響を検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、マウスの飼育費用が主な支出であった。また、既存の血圧測定機器やテレメトリー装置を用いたので使用額が少額で澄んだ。しかし、さらなるテレメトリー法による血圧測定では、高額な電池の交換が定期的に必要であること、さらに、マウスを増やさないと研究がすすまないため費用がかさむこと、マウスの解析および必要に応じて新規マウスの作成が必要であることなど費用がかかる。また、学会発表や論文発表のための費用が必要であり、次年度、次次年度での費用負担が大きいことが予測されている。
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