研究課題/領域番号 |
19K08887
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
松下 祥 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (50167649)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 好中球性炎症 / ドーパミン / D1Rアンタゴニスト / D2Rアゴニスト |
研究実績の概要 |
当該研究においては1)免疫細胞に対するD2様受容体アゴニストの作用機序を明らかにすること2)脳血液関門を通過しないD1様受容体アンタゴニストを開発すること3)各種動物モデルを用いて同薬の有効性を実証すること。の3点を柱に研究を進めている。また、ドーパミンのみならず、これと深く関係しているアデノシンがTh17に与える影響に関する検討も引き続き進めている。今年度は、昨年度に引き続き自己免疫疾患モデルマウスを用いた実験を行った。
好中球性気道炎症モデルマウスは、OVA+CFAをDO11.10マウスの鼠径部に皮下注射した後、OVAに対する獲得免疫を再活性化させる目的でOVAを霧化吸入させた。このようにして作製した好中球性気道炎症モデルマウスから肺リンパ球を採取し培養したところ、薬剤X群では超純水を投与したコントロール群と比較してIL-17A産生が抑制された。我々の過去の研究でからIL-17Aはこのモデルにおける好中球性炎症の良い指標であることは明らかにしており薬剤Xにより好中球性気道炎症が抑制されることが示唆された。
実験的自己免疫性脳脊髄炎モデルマウスは、PLP139-151 ペプチド+ CFAをSJL/Jマウスの鼠径部に皮下注射して誘導した。その後、超純水または薬剤Xの経口投与を週3回 胃ゾンデを用いて行った。経口投与と同時に運動症状の程度を経時的にスコアで評価し、20日後には脊髄を摘出しHE染色および抗mouseCD3ε抗体を用いた免疫染色を行った。超純水のみを投与したコントロール群と比較して、薬剤Xを投与した群で運動症状の増悪が抑制され、病理学的にも錐体路周辺へのCD3+T細胞の浸潤が抑制された 。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初より計画していた動物実験において、遺伝子改変動物動物の準備(matingに等)や実験方法の検討に時間を要していたが、今年度は全ての準備が整い実行する事が出来た。
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今後の研究の推進方策 |
1)免疫細胞に対するドーパミンおよびアデノシンの作用機序を明らかにすること2)脳血液関門を通過しない抑制剤を開発すること3)各種動物モデルを用いて同薬の有効性を実証すること。の3点を柱に研究を進めている。また、自己免疫病のみならず感染症においても好中球性炎症が主な病態となり得るものを取り上げ、研究を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた実験を効率的に行う事が出来たので、試薬・研究用消耗品・実験動物に関する費用を次年度に持ち越す事が出来た。
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