強皮症患者で見られる皮下の石灰沈着症の機序について追究した。まず石灰沈着成分は染色でハイドロキシアパタイトであることを確認した。病理では、沈着病変周囲に単核球が集まり、骨芽細胞マーカーALPが陽性であった。病変組織を培養すると、CD90およびオステオカルシン陽性細胞が増殖した。石灰成分も自発的に増加し続け、その中にALP陽性細胞が点在した。従って、組織中の間葉系細胞が骨芽細胞に分化し、異所性に石灰成分を産生する機序が想定された。そこで、既存の治療薬を間葉系幹細胞から骨芽細胞へ分化させる培養系に添加したところ、石灰化沈着およびその成分の細胞外マトリックス関連遺伝子発現が抑制されることが示された。
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