研究課題/領域番号 |
19K08922
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
今村 充 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (80529157)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | TPH様細胞 |
研究実績の概要 |
関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、ANCA関連血管炎(AAV)、皮膚筋炎(DM)、シェーグレン症候群(SS)、巨細胞性動脈炎(GCA)などの各種自己免疫疾患の末梢血PBMCにて、健常者コントロールに比べてTPH様細胞分画の有意な増加を認めた。一方、一部の自己免疫疾患(血清学的陰性RA、多発性筋炎など)ではTPH様細胞の増加を認めなかった。これらの結果から、TPH様細胞はRAのみならず、自己免疫疾患の多くに共通して増加するサブセットと考えられた。一方、Tbet陽性B細胞については、SLEに加えて一部のANCA関連血管炎において増加を認めたが、その他の疾患では増加を認めなかった。Tbet陽性B細胞の増加は、必ずしもTPH様細胞の増加と関連していなかった。 Flow cytometryにてRA患者及びAAV患者のT細胞分画からSortingした細胞群に対してRNAseqを施行した。RNAseqの結果から、マウスモデルで得られた結果を元に我々が定義したTPH様細胞分画が、ヒトRA及びAAV患者の血液中においても同様に、従来のCXCR5-PD1+TPH細胞の中で更に亜集団を形成していることが確認できた。ヒトTPH様細胞では特にIL-21やCXCL13を高発現しており、B細胞の分化や増殖に関与する可能性が示唆された。一方、自己免疫疾患のモデルマウスから分離した細胞をsingle cell解析したところ、TPH様細胞以外にも複数の興味深い新たなサブセットの候補が検出され、現在その臨床的な意義を確認中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床検体については比較的順調に収集できている。SortingおよびRNAseqを行う上での条件検討などに時間を要したが、現時点ではこれらの問題は解決している。組織におけるTPH細胞の染色については、染色条件を検討し、技術的な問題点を克服しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
これまでRA患者検体から得られたRNAseqのデータを精査し、TPH様細胞が更に複数のサブセットに分かれる可能性の確認、TPH様細胞に特徴的な転写因子、表面マーカーや接着因子、液性因子、TCR repertoireなどについて検討中である。これまでの本研究の研究結果から、TPH様細胞は様々な自己免疫疾患に共通して増加するサブセットと考えられる。TPH様細胞はB細胞をヘルプし自己抗体産生を促進すると考えられるが、このように異なる自己免疫疾患に共通したサブセットが何故、疾患毎に異なる臓器障害、臨床所見を来すのかは未だに不明である。そこでRA患者に加え、AAVのPBMCから、TPH様細胞をFlow cytometryを用いてSoring後にRNAseq解析を行っている。RA由来とAAV由来のTPH様細胞のRNAseqデータと比較することで、自己免疫疾患に共通する因子、及び疾患毎の特異性を決める因子同定に繋がることを期待している。 またこれまで本研究では主に末梢血PBMCを用いて検討してきたが、RAではTPH細胞が関節炎の滑膜局所に浸潤していることが知られている。従って他の自己免疫疾患においても、TPH様細胞が病変の局所(ループス腎炎の腎臓、皮膚筋炎の皮疹部、血管炎の血管局所など)に浸潤している可能性があり、組織検体を用いたTPH様細胞の同定について研究を進めたい。現在まで、ヒトRA患者の滑膜組織等の組織検体を用いて、TPH細胞のマーカーの染色条件を単染色で施行できている。今後は二重染色や多重染色を行うことで、組織病変の局所におけるTPH細胞の挙動を解析予定である。また免疫疾患モデルマウスから自己免疫疾患の病態やTPHとの関連が示唆される新たなT細胞サブセットが複数同定され、現在ヒトの自己免疫疾患における存在や意義を確認中である。
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