研究実績の概要 |
我々は真菌研究において新しいアプローチであるシグナルシークエンストラップ(SST-REX)法を利用し,真菌の診断ツールならびに治療薬候補を応用することが期待される膜蛋白質および分泌蛋白質を網羅的に同定した後に,モノクローナル抗体を開発して,深在性真菌症の早期診断法を確立することを目標に研究を実施している.現在までに,SST-REX法を用いてアスペルギルス症の代表菌種であるAspergillus fumigatus(臨床分離株)(主に国立感染症研究所にて研究を実施)、およびムーコル症の代表菌種Rhizopus oryzae(臨床分離株)より膜蛋白および分泌蛋白遺伝子の検出を試み(大阪市立大学にて実施),未知の数種の蛋白抗原の候補(アスペルギルス:Y1, B11a, B11b(約20kDa, 生育および病原性に関与する蛋白), ムーコル:RSA(23kDa, 未知の蛋白))が選出された. それらの抗原を精製,ウサギに免疫して抗体を精製, その後ELISAキットを作成. それぞれのELISAキットは感染マウスの血清中のそれぞれの抗原検出に成功している. アスペルギルスY1抗原およびムーコルRSA抗原は, それぞれ特許申請を行っている(特許第5925783号; アスペルギルスフミガーツス感染症の検査、予防及び治療のための方法並びに組成物, 特許出願番号2016-227864; ムーコル症を診断/検査するためのツールおよび方法). 基礎研究として抗体を用いた組織の免疫染色を行い、その後、放射性同位物質をラベリングした抗体を感染動物に投与して、画像検査にて検出する研究に発展させる予定である。
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