研究課題
基盤研究(C)
我々は、従来薬とは異なる作用点を持った抗ウイルス薬候補としてシクロスポリン(CsA)とその誘導体を同定した。siRNAを用いた実験により、既知のCsA標的分子はウイルス増殖過程に関与していないことが明らかとなったため、CsA固定化ビーズを用いたプルダウン法によってCsA結合タンパク質を精製・解析した。その結果、複数のCsA結合タンパク質を同定した。同定した遺伝子をノックアウトした細胞を用いた解析により、ウイルス増殖に関連する宿主因子の候補を絞り込むことができた。
ウイルス学
本研究によって、新たな機序による抗インフルエンザウイルス薬の出発点としてCsAが同定された。また、ウイルスの増殖に関与する新たな細胞側の因子の候補を同定することができた。本研究の成果は、薬剤耐性ウイルスに対応可能な新しい抗インフルエンザウイルス薬の開発につながる可能性があり、大きな社会的意義がある。また、新たな宿主因子の発見からウイルスタンパク質や細胞側タンパク質の新たな機能が明らかになることが期待され、学術的にも大きな意義があると思われる。