研究分担者 |
佐渡 哲 東北大学, 大学病院, 講師 (20396485) [辞退]
大石 久 東北大学, 大学病院, 講師 (60451580)
野田 雅史 東北大学, 加齢医学研究所, 准教授 (70400356)
平間 崇 東北大学, 大学病院, 助教 (80510338)
岡田 克典 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (90323104)
兼平 雅彦 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (90374941)
星川 康 藤田医科大学, 医学部, 教授 (90333814)
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研究実績の概要 |
東北大学で2000年から2016年までに行われた89例の脳死肺移植で肺移植時のドナー肺虚血時間についての検討を行った。脳死肺移植後3ヶ月以内に死亡した症例と3ヶ月以上生存した症例の虚血時間を比較したところ、3ヶ月以内に死亡した症例で全虚血時間(ドナー肺のクロスクランプから再灌流まで)が有意に長かった(657.3±32.6 vs, 556.8±13.2min; average±SEM, p<0.05)。また、改正臓器移植医療法施行前後による虚血時間を比較したところ、改正法施行以降で有意に虚血時間が長かった(552.8±27.0 vs, 581.9±14.1min, p<0.05)。現状の肺保存では、再灌流を行った肺を気道内圧15mmHg程度に保ち膨張した状態で冷却して保存される。冷却保存された状態においても肺は代謝していると考えられ、肺の保存中にも代謝に必要な酸素を供給する目的で、低温持続肺換気保存法を検討することした。豚摘出肺を用いて、肺をしぼませた状態で低温保存するdeflation群、従来の肺保存である肺を膨張させた状態で低温保存するinflation群、低温持続肺換気保存法を行ったventilation群の3群に分けて24時間の肺保存を行い、それぞれの群を比較検討した。保存後の気道内酸素濃度は、ventilation群では維持されたが、inflation群及びdeflation群で低下した。また、保存後の気道内二酸化炭素分圧は、inflation群、deflation群で有意に上昇した。また、肺保存前後での肺内ATP濃度はinflation群及びdeflation群で低下したものの、ventilation群では維持されていた。それぞれの群の保存肺を用いた豚左片肺移植後のP/F比はventilation群で他に比較して良好であり、肺水腫の指標であるwet/dry比もventilation群で最も低かった。これは肺保存中にも代謝により酸素が消費され二酸化炭素が産生されるため、酸素を供給することで保存中の肺の好気性代謝が維持でき、肺を良好な状態で保存できたことを示唆すると考えられた。
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