研究課題/領域番号 |
19K09068
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小濱 和貴 京都大学, 医学研究科, 准教授 (50322649)
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研究分担者 |
安藤 英由樹 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (70447035)
坂井 義治 京都大学, 医学研究科, 教授 (60273455)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 感覚融合法 / 追いトレ / ロボット支援手術 / ヘッドマウントディスプレイ / 腹腔鏡下手術 / 手術教育 |
研究実績の概要 |
われわれはこれまでの内視鏡外科手術教育システムの研究開発(「一人称視野共有システム」を用いた「追いトレ」シリーズ)を通して、熟練者の“コツ”を効率的に学習者に伝達する手法を確立してきた。本研究では、トレーニングボックスやアニマルラボの手術教育だけでなく、実際のヒトの手術の追体験型教育システム開発(ロボット支援手術を含む)、そしてその教育効果の定量的評価を目的としている。具体的には以下の通りである。①実際のヒトのS状結腸切除術の手本動画を用いて「一人称視野共有システム」のコンセプトに基づいた腹腔鏡下手術教育システムを開発 ②ロボット支援手術(直腸切除術や幽門側胃切除術など)に対する「追いトレ」のコンセプトに基づいた教育システムを、ヘッドマウントディスプレイと仮想鉗子入力装置を用いて開発 ③上記教育システムの教育効果をカダバーラボによる定量的な評価方法で測定。 実際のヒトの腹腔鏡下S状結腸切除術における熟練者の手技の動画を用いて、視野融合法を用いた教材のプロトタイプ作製を終了した。スコープの動きや画角の微調整を行い、実際の操作感の改善を繰り返し行ったのち、消化器外科の研修医・専攻医を対象に教材を用いたトレーニングを開始した。現在のところ、2名の医師に対してトレーニングを行い、実際にカダバーラボでS状結腸切除術を執刀してもらって、その手技の評価を施行した。 また、ロボット支援手術の教育システム開発については、現在3Dで録画されたロボット支援手術動画(胃切除術、直腸切除術)を教材用に分節化して編集作業を開始した。現在も編集を継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成31年度の研究実施計画の中で、一人称視野共有システムによるヒト腹腔鏡下S状結腸切除術の手術教育システムの開発においては、おおむね順調に進展していると考えられる。実際のヒトの腹腔鏡下S状結腸切除術の動画を使って、視野融合法を用いたトレーニングシステム(追いトレ)のプロトタイプ作製が終了し、カダバーラボによる評価を行っている。これについては、教材作製に関する倫理審査、およびカダバーラボによるトレーニングとその評価に関する倫理審査が必要であり、その書類作成や倫理委員会への付託・審査に一定の時間を要する。適正に研究の倫理性を担保しながら、開発・評価を進めているところである。 また、視野共有とヘッドマウントディスプレイによるロボット支援手術の追体験没入型教育システム開発に関しては、平成31年度はロボット手術動画撮影や教材作製に関する倫理委員会提出用の書類作成および審査を終了、その後ロボット支援手術の動画撮影を複数の症例で行い、現在動画の編集作業を行っている段階である。おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
一人称視野共有システムによるヒト腹腔鏡下S状結腸切除術の手術教育システムの開発については、カダバーラボにおける評価をさらに人数を増やして行っていく予定である。しかし、カダバーラボにおけるご献体は大変貴重で有限のリソースであり、どんどんnを増やしていくことは難しい。適切な倫理性を担保しながら、この研究の社会的意義(若手外科医の効率的な教育による低侵襲手術の普及、およびこれを国民が享受できるメリット)を鑑みて、今後も「評価を進めていく予定である。また、他の臓器の手術については令和2年度より同様の教材作成に取り掛かることができればと考えている。 視野共有とヘッドマウントディスプレイによるロボット支援手術の追体験没入型教育システム開発については、2020年度のうちに編集作業を終了し、ヘッドマウントディスプレイにおいて仮想鉗子とともに動作するアプリケーションの開発を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該研究に係る倫理委員会の審査に一定の時間を要したことと、COVID-19のパンデミックに伴う研究者会議の延期なども相まって、備品や消耗品の購入の時期が次年度にずれ込んだため。2019年度に購入予定であった備品消耗品を来年度に購入・使用予定である。
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