大腸癌において、癌関連の短縮型糖鎖であるTn抗原が発現することが知られる。近年、Tn抗原のような腫瘍細胞表面の糖鎖は腫瘍微小環境において免疫抑制的なシグナルを誘導するとともに、それ自体が免疫チェックポイントとみなしうることが示唆されている。当研究では、免疫組織学的検討により500例超の大腸癌・大腸腺腫を評価し、一部の大腸癌、特にdMMR大腸癌においてTn抗原強陽性症例の存在を確認した。dMMR大腸癌において、Tn抗原強陽性症例はCD8陽性T細胞浸潤が低く、PD-L1陽性率も低いことがわかった。このような腫瘍はTn抗原を標的とした治療の適応となる可能性がある。
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