本研究は、外科専門医教育における手術手技向上のための新たな教育方法の確立および評価を行うことを目的とし、運針中の注視視点を定量的に可視化することで、指導医と専攻医が行なう血管吻合の違いを解析した。被験者は指導医、中堅医師および若手医師として、アイトラッカーを装着した状態で人工血管同士の吻合を行ない視点解析した。その結果、修練年数が長くなるにつれ針の持ち替えを吻合部の視野範囲内で行う傾向が強く、吻合箇所の注視時間の割合が高かった。針の持ち替え時間や刺入点の修正割合等も修練年数に応じて少なかった。本研究によって、手術手技の教育を行う上での有用な情報と指導方法を得ることができた。
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