研究課題
肺移植は終末期肺疾患に対する確立された治療法であるが、肺移植後の5年生存率は国際平均で約50~60%であり、他の臓器移植に比べて予後不良である。肺移植後の長期生存を妨げる主な原因は慢性移植肺機能不全(CLAD)であり、肺移植後5年間で約50%の肺移植レシピエントに発症するため、CLADの早期診断を可能にする新しいバイオマーカーが必要とされている。また、肺移植後10年で約25%のレシピエントに発症する慢性腎臓病(CKD)も重要な慢性期合併症であり、CKDを予測できる指標も必要とされている。本研究では、(1)肺移植後の血漿マイクロRNA(miRNA)の測定による新しいCLAD診断方法の開発と、(2)ジャポニカアレイを用いた肺移植後のCKDに関連するSNPの同定を行った。(1)肺線維化に関連するmiRNAのうち、血漿miR-21とmiR-155が非CLAD患者(23名)よりCLAD患者(14名)で有意に増加していた。特に血漿miR-21は、CLADの診断1年前と診断時の1秒量、努力性肺活量、全肺気量のベースライン変化率と有意に相関していた。血漿miR-21の測定は、両肺移植後CLADの診断の一助となる可能性があり、低侵襲な新しいCLADのバイオマーカーとなる可能性が示唆された。(2)34例を対象とした探索的解析では、126の腎機能に関連するSNPのうち、8つのSNP(rs102275、rs10277115、rs174549、rs2980098、rs4690095、rs72719193、rs792064、rs7956634)が候補として同定された。99例を対象とした検証的解析では、rs10277115、rs4690095、rs792064の3つのSNPが、肺移植後の長期的なeGFRの変化と関連しており、肺移植後のCKDを予測する指標となる可能性が示唆された。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 7件)
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