研究課題/領域番号 |
19K09349
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
平井 昂宏 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (00612798)
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研究分担者 |
小西 裕子 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (60771970)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | セボフルラン / がん細胞 / ケモカイン |
研究実績の概要 |
吸入麻酔薬を始め静脈麻酔薬など、各種麻酔薬ががん治療の第一選択として外科手術に用いられている。一方でこれらの麻酔薬が心筋や神経細胞に細胞死に対する保護作用が生じるなどの直接的な影響が知られている。これらのことからがん細胞に対しても同様の保護作用への懸念が広がり、複数の研究例が報告されている。 これまでに報告者らはこれまでに吸入麻酔薬セボフルランを暴露した一部の大腸がん細胞株が、ケモカイン遺伝子の高発現を伴い、その増殖を高めることを見出した。また報告者らはこの増殖亢進が免疫不全マウスの皮下の異種移植においても観察され、マウスの皮下において血管新生を盛んに生じることを見出した。そこで報告者らはこのがん細胞のセボフルラン暴露後に生じた増殖亢進や、血管新生に働いた機序を解明するために、セボフルラン暴露後に生じた、多様なケモカイン遺伝子の異常高発現に着目した。 そこで報告者らは吸入麻酔薬セボフルラン暴露後に増殖を高めるヒト消化器がん細胞株を複数探索するため、12種類のヒト消化器がん細胞株をスクリーニングした。その結果6種類において増殖能を高め、ケモカイン関連遺伝子が高発現することを確認した。さらに3細胞株については免疫不全マウスの皮下においても、血管新生を更新することを見出した。これらの成果から異種移植腫瘍の血管新生に着目して、組織免疫染色を中心に血管新生を促したタンパク質の発現の検討を進めた。具体的にはマウスの異種移植した腫瘍を用いて、組織切片を作成し免疫染色を実施した。上記の実験はまだ継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
他の研究について興味深い知見が得られたため、エフォートの配分が異なった。ケモカイン遺伝子の発現量をリアルタイムPCRで実施していたが、機械の不調により実験の遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
タンパク質発現量の実験などは、蛍光色素などを用いたキットなどの利用を行い短縮化を進める。残されている課題は、動物実験の検討であるため、実験補助員など可能であれば人手をかけて実施速度を速めるよう努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
リアルタイムPCRなどの試薬が必要になること、また予測した経路でのケモカイン活性化が見られなかったことから、他のタンパク質の発現量を精査するための簡易キットなどを購入していく必要があるため。 また当初予定していたタンパク質発現解析に遅れが生じ必要となる消耗品を購入しなかったため。
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