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2020 年度 実施状況報告書

悪性高熱症の遺伝子診断を目指した1型リアノジン受容体遺伝子変異体の作製と発現

研究課題

研究課題/領域番号 19K09383
研究機関昭和大学

研究代表者

小口 勝司  昭和大学, 医学部, 名誉教授 (50129821)

研究分担者 小山田 英人  昭和大学, 医学部, 兼任講師 (50266160)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード悪性高熱症 / リアノジン受容体 / 変異体
研究実績の概要

細胞内カルシウム(Ca2+)放出チャンネルである1型リアノジン受容体(RyR1)における、悪性高熱症(malignant hyperthermia、MH)の症例に相当するアミノ酸変異を持つMH型RyR1cDNAの変異体を発現する培養細胞の樹立を目指した。
昨年始めからの国内での新型コロナウィルス感染の拡大により発令された緊急事態宣言を機に、通勤を自粛した形のテレワークを目指したリモート作業を可能にするために、学外でのインターネット環境の確保を進めた。これにより、学外においてもMH型RyR1変異体を作製するためのPCR用プライマーセットの組み合わせをデザインできるDryな実験系の環境を整えることができた。このデザインの際に、Web上のツール「DNA sequence Design Supporter」が有効であり、アミノ酸配列の変異部位に相当する塩基置換をPCR法により試みて得られた複数のクローンの中から、塩基置換の導入が行われているか否か?を、シークエンスを行う以前に、予め制限酵素による切断の有無で判断することが可能となり、この判断されたクローンにおいてのみシークエンスを行って各cDNAカセットの塩基配列を確認して実験が進められるようになった。
実際に、変異体を作製するWetな実験系の実行はかなり制限されたが、GalliらがMH関連の論文(2002年)として報告した4737番目のアルギニン(R)がトリプトファン(W)に変異したR4737W変異体、4237番目のバリン(V)がロイシン(L)に変異したV4234L変異体、4136番目のRがセリン(S)に変異したR4136Sを各々R4737WとV4234LはCsRyR1cDNAカセットの10番目のカセット(Cs10)を、R4136Sは、9番目のカセット(Cs9)を鋳型として、inversPCR法にて作製することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウィルス感染拡大と緊急事態宣言の発令を機に、テレワーク作業を行うことを可能にする為に学外でのリモート環境の確保を図った。この改善された環境により、学外においてもMH型RyR1変異体を作製するためのPCR用プライマーセットをデザインできるDryな実験系の環境を整えることができた。しかし、この環境下でカセット変異のデザイン時に有効なツールである「DNA sequence Design Supporter (https://www.rs.noda.tus.ac.jp/~biost/OPFU/yama/public_html/test /ddsp.htm)」のサイトが閉鎖される事態が生じた。交渉により、このサイトを主催されていた山登一郎名誉教授(東京理科大学・基礎工学部)と久保田幸男様(東京理科大学・情報システム課)のご厚意とご尽力によって再開されて利用できる様にしてくださった経緯があり、両氏に謝意を送るものである。
これに続くWetな実験系の施行の方も制限された状態が生じていたが、さらに当大学と複数の附属病院の現場からの強い要請により、新型コロナウィルス感染者を検出する為の「新型コロナウィルス対応PCRセンター(https://www.jsac.or.jp/bunseki /pdf/bunseki2020/p485.pdf)」の開設と検査体制の運用化とさらに変異株解析の施行に至るまで多くの労力を費やさねばならない事態が生じた。このため、僅かな時間で変異体作製と細胞の維持に取り組まねばならなかった。尚、部位特異的変異を導入するために必要なPCR機の保守と修理に加えて、細胞の管理に必須な顕微鏡の画像取得用高感度冷却デジタルカメラとその画像の取得、保存と解析するためのパソコンとプログラムに不具合が生じたので、その修理とバージョンアップを行って継続して利用できる様にした。

今後の研究の推進方策

昨年と同様に、細胞内Ca2+放出チャンネルである RyR1をコードする cDNAの塩基配列に、MH患者の症例に相当するアミノ酸変異を持つMH型RyR1cDNAの変異体を発現する培養細胞の樹立に向けて、その変異部位の種類の追加を目指す。
昨年始めからの続く国内での新型コロナウィルス感染と緊急事態宣言等に照らし合わせた仕事改革とも言うべき実験方略の見直しが必要になってくのかもしれない。Dryな実験系からWetな実験系を実施する際に、新型コロナウィルスの検査工程を行うと同時にこのWetな実験を行える環境を作成する必要が出てきたと言える。
これとは別に、現在、新型コロナウィルスに対する感染と重症化を阻止できるワクチン接種も次第に進んでくることにより、感染者が減少して、通常の環境に近い実験環境が復帰すれば、現在のリモート作業による変異体作製用のプライマーデザインと制限酵素による変異導入の有無の判断とシークエンスによる完成の確認の効率化に伴って、変異体作製とその完成の確認に要する労力と期間の縮小と短縮も十分に期待される。
尚、これまでRyR1cDNAの培養細胞での過剰発現による細胞毒性の回避のためにテトラサイクリン(Tet)誘導性「Flp-In-Trexシステム(Thermofisher社)」を利用してきた。このため、細胞は293細胞(Flp-In Trex 293 Cell Line)に限られてしまっていた。今後は、より発現のON/OFFの切れが良いとされるTet-One発現誘導システム(Takarabio社)を新たに追加して、さらに他の多くの種類の細胞にも適応ができる様にして備えることとする。

次年度使用額が生じた理由

Flp-In-Trexシステムの他に、テトラサイクリン誘導性発現のON/OFFの切り替えがより良いとされる「Tet-One発現誘導システム(Takarabio社)」を実験系に新たに追加して利用できるようにするための準備をするため

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公開日: 2021-12-27  

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