線維筋痛症は、全身の広範囲にわたって慢性的な原因不明の激しい痛みを生じる疾患であり、身体症状や精神症状など様々な随伴症状を伴うことが知られている。本研究では、iPS 細胞分化誘導技術を応用し、線維芽細胞由来 iPS 細胞から知覚神経細胞あるいはドパミン神経細胞へ分化誘導し、線維筋痛症病態解析を行った結果、線維筋痛症の複合的な症状発現には、脳内における機能変容のみならず、知覚神経内変容も惹起されていることが明らかになった。以上、本研究の結果より、更なる検討は必要であるものの、激しい痛みを緩和するためには、精神症状の緩和のみならず、知覚神経の応答制御も重要である可能性が示唆された。
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