研究課題
タイでは、コンケン県の共同研究者とともに、2008年のNational Institute for Emergency Medicine (NIEM)の設立以降、救急車の配備や救急車による搬送が急増したことを示し論文発表した(Emerg Med Australas 2021;33:756-58)。2021年度は、救急医療システムの発展とともに重傷外傷患者の致死率が低下することを定量的に示すことを目的に、死亡をアウトカムとした分析を進めており、2022年度中に論文発表を行う予定である。ベトナムでは、ハノイ市内の救急搬送システムの資源が不足しておりさらなる投資が必要であることを論文発表した(Emerg Med Australas 2021;33:541-46)。また、ハノイ市内の国立病院や大学病院など三次医療施設の救急部門の多施設データを用い、心肺停止患者に発見者が心肺蘇生を実施しない理由について分析し、心肺停止であることを認識していないことが主な理由であることを明らかにし論文発表した(Prehosp Disaster Med. 2022;37:101-105)。ベトナム、タンホア州では脳卒中患者の三次医療施設へのアクセス(救急車の利用、交通手段、かかった時間など)および病院到着から治療までの時間に関する調査の準備を進めており、2022年度に実施する予定である。さらに、救急医療システム評価指標(科研費16K11422により開発)を用いた救急搬送システムの評価をインド、スリランカ、タイ、ベトナム、中国、シンガポール、フィリピン、日本の8カ国で進めているところである。
2: おおむね順調に進展している
コロナ禍のために現地調査を実施することができなかったが、現地研究者の協力と、オンラインでのコミュニケーションを通してタイ、ベトナムでの調査、データ分析を進めている。また、救急医療システム評価指標(科研費16K11422により開発)を用いた評価のためのデータ収集を、インド、スリランカ、タイ、ベトナム、フィリピン、シンガポール、中国、日本で進めており、多国間の比較分析を実施する予定である。初年度に収集したデータおよび既存のデータを用いた論文発表は順調に進んでいる。
最終年度であるので、現在進行している研究(タイ、ベトナムにおける調査分析、多国間のシステム比較)をとりまとめて発表を行う予定である。新型コロナウイルス感染症が落ち着けば、タイ、ベトナムを訪問して研究の総括を行いたい。
2020年度、2021年度ともコロナ禍のために海外渡航ができなかった。2022年度はコロナ禍も落ち着いてきており、タイ、ベトナム他の国への渡航ができることを見込んで旅費分を繰り越した。渡航ができない場合には論文の校正や掲載料に回す予定である。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件)
Prehospital and Disaster Medicine
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