本研究はPAX2ヘテロ遺伝子異常を持った生体が、どのような聴覚器異常を呈するのかを機能および形態の両面から解析するものである。当院の腎コロボーマ症候群の患者について確認したところ、7例中3例において比較的若年であるにもかかわらず高音域の感音難聴を示した。そしてその3例ともPAX2のヘテロ遺伝子異常を有していた。これらの結果からPAXヘテロ遺伝子異常が高音域の感音難聴を引き起こす可能性のあることを明らかとした。しかし蝸牛の形態異常およびコルチ器の組織学的解析の両面から行う難聴の原因解明、耳毒性薬物を用いた内耳脆弱性の検証においては有意差を見いだせなかった。
|