研究課題
基盤研究(C)
Nrf2ノックアウトマウスでは、環境ストレス負荷後に涙液分泌減少、角膜神経障害を認め、角膜の痛み受容体(TRPV1)の易刺激性を獲得することが示された。また、Nrf2ノックアウトマウスでは環境ストレス負荷後は鬱状態を呈することが示された。Nrf2は、角膜の酸化ストレスを低減し、角膜における炎症細胞浸潤を抑制する事により、ドライアイ発症及びその痛みによって引き起こされる鬱症状を予防しているキーファクターであることが示唆され、オフィスワーカーのドライアイの病態の一端が解明された。
眼科
オフィスワーカーのドライアイは、有病率が65%と高く、労働生産性の低下が報告されている。今回我々が用いた環境ストレス負荷モデルは、オフィスワーカーのVDT作業によるストレスを模した動物モデルである。このモデルを用いて、Nrf2がドライアイ発症に大きな役割を来していることを示せたことは、今後のドライアイの治療戦略、研究の方向性に大きな変化を及ぼすことが考えられる。最終的に治療に結びつくことによって、ドライアイで悩む患者が減り、労働生産性やオフィスワーカーのQOL向上に結びつくことが期待される。