研究実績の概要 |
糖尿病において慢性炎症が常態化して骨が脆弱となり骨粗鬆症の要因となることが知られている。ゲラ二ルゲラ二オール(GGOH)は一部の癌細胞に対して抗がん作用を持つことが報告されている。癌細胞の代謝は慢性炎症状態と類似する点が多い。そこでGGOHの作用機序を解明する目的で、今回は扁平上皮癌細胞増殖におけるグルコースとGGOHの影響について検討した。 口腔扁平上皮癌細胞はHSC-2細胞を用いた。イーグル基礎培地 (MEMα)の標準グルコース濃度(1,000mg/L:5.6 mM)にグルコースを添加し、中間グルコース濃度(2,000 mg/L: 11 mM)、高濃度グルコース濃度(4,500 mg/L: 25 mM)のMEMα培地を作製した。10%ウシ胎児血清を含む各MEMα培地でのHSC-2細胞増殖におけるGGOHの抑制効果を検討した。細胞増殖はGGOH添加48時間後でcell counting kit-8で行った。 それぞれのグルコース濃度におけるHSC-2細胞の増殖はあまり変わらなかった。GGOHを添加すると濃度依存的に増殖が抑制された。グルコース1,000mg/L濃度では50μMのGGOHの添加で約43%、2,000mg/L濃度では27%,4,000mg/L濃度では13%の細胞増殖抑制が観察され、GGOHによる癌細胞増殖抑制効果が高グルコース添加によって減弱することがわかった。
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