本研究では,全部床義歯装着患者100名分のデータを利用して,切歯点の位置の予測し,予測値の精度評価を行った.まず,上下全部床義歯のSTLデータを取得し,解剖学的ランドマークの各座標を求めた.そして,各ランドマーク間の距離を用いて重回帰分析および数理解析を行い切歯点の予測を行った.なお,座標は,x軸を義歯の前後方向,y軸を上下方向,z軸を左右方向とした.結論として,切歯点のz座標の予測では,精度の高い予測が可能であることが示唆された.一方,切歯点のx座標とy座標の予測においてはそれぞれ,予測精度が低かったことから,追加の情報として,上唇下縁の位置と顔貌の正中の位置が必要であることが示唆された.
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