研究課題/領域番号 |
19K10307
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
北村 信隆 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (90224972)
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研究分担者 |
武井 延之 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (70221372)
中田 光 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (80207802)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | シロリムス口内炎 / 発症機序 / 口腔粘膜培養 / 細胞間接着因子 |
研究実績の概要 |
シロリムスは我が国ではリンパ脈管筋腫症の治療薬として承認されている。最も頻度が高い有害事象は口内炎で、シロリムス口内炎と呼ばれている。臨床所見はアフタ性で基底膜に及ぶ深い潰瘍は創らず、浅く円形の形状を呈する。内服後半年間で85 %以上の患者が発症し、患者のQOLを低下させている。共同演者の中田が一昨年の本研究会において、シロリムス服用後におこる小球性低色素性貧血と口内炎発症の関連について報告し、昨年は0.06mMCa存在下で、口腔粘膜細胞の増殖と成長に0.1-10nMのシロリムスが抑制的に働くことを報告した。その後、我々は、1.2mM Ca濃度(生理的濃度)において、口腔粘膜細胞をカルチャーインサート上に4週間重層培養し、疑似口腔粘膜組織を作製したのち、その後2週間、培地にシロリムスを添加して細胞増殖、形態や細胞間接着に及ぼす影響を調べた。その結果、このCa濃度では、1)BrdU取り込み試験で、基底細胞の増殖は、シロリムス添加によって抑制されないこと、2)形態的には細胞の大きさの減少と重層化した細胞の剥離(特に角化細胞)が観察されること、3)この剥離の原因として細胞間接着因子 E-cadherinやDsmogrein-3の用量依存的な発現低下が見られることがわかった。以上のことから、シロリムス口内炎の機序として、接着因子の発現低下による細胞間接着の脆弱化が重要であると思われた。一方、口内炎が6ヶ月経つと頻度が低下していくことから、シロリムス服用患者では、自己修復のシステムが働いていると考えられる。今後は、シロリムス服用開始前の患者より頬粘膜スワブを採取し、その細胞の大きさと接着因子の発現が、シロシムス服用後に変化するかどうかを観察する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
この2年間、コロナウィルス感染拡大の影響により、研究計画の執行が困難であったため。
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今後の研究の推進方策 |
口内炎が6ヶ月経つと頻度が低下していくことから、シロリムス服用患者では、自己修復のシステムが働いていると考えられる。今後は、シロリムス服用開始前の患者より頬粘膜スワブを採取し、その細胞の大きさと接着因子の発現が、シロシムス服用後に変化するかどうかを観察する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
この2年間、コロナウィルスの感染拡大により、当該年度の研究執行が困難であったため。
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