研究課題/領域番号 |
19K10316
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
角 美佐 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (90284702)
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研究分担者 |
藤田 修一 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (00181355)
柳本 惣市 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (10315260)
高木 幸則 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (30295084)
榮田 智 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (80325662)
山田 敏朗 長崎大学, 病院(医学系), 技術職員 (90380930)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | リンパ節転移 / 口腔癌 / 拡散強調MRI / ダイナミック造影MRI |
研究実績の概要 |
口腔扁平上皮癌において予後を左右する最も大きな因子は頸部リンパ節転移である。したがって、治療前に転移を正確に診断することが重要であるが、現在の画像診断精度は十分ではない。原発巣を対象とした転移能の解明が進められているが、画像上の転移予測因子として検討されてきたのは深達度をはじめとする形態学的情報のみで、転移予測能の飛躍的な向上は達成できていない。そこで本研究では、新たにMRIの機能的情報 (in vivoにおける生物学的性状を反映する情報)を取得し形態学的情報と組み合わせた「マルチパラメトリックMRI」を用いて、高精度な口腔癌リンパ節転移予測法の確立を目指す。令和2年度は、令和元年度から引き続き、長崎大学病院においてMRI検査を施行後、原発巣の根治切除手術を行った口腔癌患者を対象に原発巣のマルチパラメトリックMRI情報および1次転移、後発転移情報を取得を行い、原発巣に関心領域を設定し、次の形態学的情報と機能的情報を得た。①形態学的情報:T1強調像、脂肪抑制T2強調像、造影T1強調像を用いて、形態評価(DOI、最大径、辺縁形態のフラクタル解析)および進展範囲の評価を行い取得した。②機能的情報:造影ダイナミッT1強調像から得られるTIC mapおよび拡散強調像から得られるADC mapを用いて、ヒストグラム解析を行い取得した。さらに、原発巣の病理組織を用いて、頸部リンパ節転移と細胞外マトリックスのremodeling factorとの関係について検討し、原発巣実質ではLysyl oxidase、MT1-MMP、TIMP-1の発現、間質ではTIMP-1の発現が、それぞれリンパ節転移と関連することが示唆される結果が得られ、論文にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
follow upの患者の受診がコロナ窩により遅延傾向にあるため、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後さらに研究を進める。令和元年および2年度で得られたマルチパラメトリックMRI情報と組織情報を比較し、各MRI情報が反映する組織情報について検討する。また、1次転移・後発転移のリンパ節情報(個数、大きさ、転移側、転移レベル、節外浸潤)を用いて、リンパ節転移に関連するMRI上の転移予測因子を、ロジスティック回帰分析、重回帰分析により同定し、その後、MRI上の転移予測因子と臨床情報を組み合わせ、リンパ節転移予測モデル式を求める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
1. コロナ窩のため出張ができず、旅費としての支出がなくなった。 2. 年度途中で教授に昇進したため、学内のダイバーシティ推進センターから、「女性教員上位職登用にかかるインセンティブ経費」の支給を受け、それを研究費として充てたため、科研費からの支出が減った。 3. 次年度使用額は、延期となった出張旅費および新しい診断プログラム作成に必要な経費に充てる。
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