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2019 年度 実施状況報告書

変形性顎関節症の発症メカニクスの解明とNFATc阻害剤を用いた新規治療法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 19K10383
研究機関広島大学

研究代表者

廣瀬 尚人  広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (50611935)

研究分担者 谷本 幸太郎  広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (20322240)
矢野下 真  広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (20823199)
國松 亮  広島大学, 病院(歯), 講師 (40580915)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード顎関節症 / 変形性顎関節症 / 軟骨細胞 / 滑膜細胞 / 炎症 / NFATC / MMP
研究実績の概要

本研究は変形性顎関節症による軟骨破壊を防ぐ物質を探索する研究である。我々は以前より顎関節にかかる器械的負荷により軟骨破壊を生じるメカニクスについて検討を行ってきた。機械的刺激はインテグリンーFAKを介して受容されている。このたび我々はカルシニューリンに注目し、それに関与するNFATCを介したメカニクスが軟骨破壊に関与している可能性について検討することとした。
実験は肥大期ATDC5を用いて実験を行っている。予定では軟骨細胞をラットより採取培養する予定であったが効率が悪い事より既存の軟骨細胞を利用している。軟骨細胞に機械的刺激を付加した場合、その12時間、24時間前に投与したFK506は、50μMの濃度で有意にANGPTL2発現を抑制することが明らかとなった。FK506投与後に、過度な機械的負荷付与後6時間、12時間後で、ANGPTL2, COX2, IL1-β, MMP3,MMP13, Adamts5の遺伝子発現の抑制が確認された。過度な機械的負荷付与により亢進したp-ERK, p-P50, p-Akt, p-P38, p-JNKタンパク発現は、FK506の添加により、抑制されることが明らかとなった。軟骨細胞において、過度な機械的刺激によってNFATC1,3,4の発現は有意に亢進し、NFATC2の発現は有意に抑制された。過度な機械的刺激10分後よりNFATc3の脱リン酸化の亢進が認められ、120分まで継続した。トータルNFATc3は過度な機械的刺激開始後120分で亢進が認められた。

本研究に関連する内容として2019年度には顎関節学会で2演題の報告、IADRにて2演題の報告を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

FK506もしくはNFATCの阻害剤を使用してその炎症抑制効果を検討したいところであるが、炎症モデルのウエスタンブロットの精度に問題があり、それにより濃度の検定、阻害剤投与のタイミング等を正確に決められない状況である。阻害剤の種類が多い事や、阻害剤が高価なこともあり、無駄のない実験計画を立てるために、軟骨の炎症モデルの正確なタイムコース(炎症およびシグナル物質の発現タイミング)を把握したいところである。

今後の研究の推進方策

軟骨細胞炎症モデルのタイムコースが完成したところで、至急FK506およびNFATC阻害剤を添加し、その炎症抑制効果、MMPの発現抑制効果について検討を行う。HK506とNFATC阻害剤の効果の差について、シグナル伝達経路をウエスタンブロットで確認していく。
また濃度検定も正確に獲得されることにより、動物実験の適正濃度も設定できるようになるため、モデルラットを用いた動物実験も開始する予定である。モデルラットはすでに確立済みである。

次年度使用額が生じた理由

昨年度経費として計上していた海外での学会報告がコロナウイルスの関係で中止となり金額に変更が生じました。本年度の研究経費として追加計上し、動物実験を中心に使用する予定としております。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 5件)

  • [雑誌論文] ANGPTL2 Promotes Inflammation via Integrin α5β1 in Chondrocytes.2019

    • 著者名/発表者名
      Takano M., Hirose N., Sumi C., Yanoshita M., Nishiyama S., Onishi A., Asakawa Y., Tanimoto K
    • 雑誌名

      Cartilage

      巻: 1 ページ: 1-13

    • DOI

      doi.org/10.1177/1947603519878242,

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Semaphorin3A Inhibits Inflammation in Chondrocytes under Excessive Mechanical Stress.2019

    • 著者名/発表者名
      Hirose N., Sumi C., Yanoshita M., Takano M., Nishiyama S., Tsuboi E., Onishi A., Yamauchi Y., Asakawa Y., Tanimoto K
    • 学会等名
      The 97th General Session of International Association for Dental Research (Vancouver)
    • 国際学会
  • [学会発表] Anti - inflammatory effects of FAK inhibitor on condylar cartilage under excessive mechanical stress2019

    • 著者名/発表者名
      Yanoshita M., Hirose N., Takano M., Sumi C., Nishiyama S., Tsuboi E., Asakawa Y., Onishi A., Yamauchi Y., Tanimoto K.
    • 学会等名
      The 97th General Session of International Association for Dental Research (Vancouver),
    • 国際学会
  • [学会発表] 軟骨細胞におけるANGPTL2による炎症促進メカニズムの解明2019

    • 著者名/発表者名
      高野真実, 廣瀬尚人, 矢野下真, 西山沙由理, 壷井英里, 大西梓, 山内優佳, 麻川由起, 谷本幸太郎
    • 学会等名
      第32回顎関節学会総会・学術大会(東京)第6回アジア顎関節学会
    • 国際学会
  • [学会発表] 下顎頭軟骨への過度な圧迫負荷付与時のFAK阻害剤の抗炎症効果-器官培養法を用いた検討-2019

    • 著者名/発表者名
      矢野下真, 廣瀬尚人, 高野真実, 西山沙由理, 大西梓, 山内優佳, 壷井英里, 麻川由起, 谷本幸太郎
    • 学会等名
      第32回顎関節学会総会・学術大会(東京)第6回アジア顎関節学会
    • 国際学会
  • [学会発表] 機械的刺激による軟骨破壊のメカニクス 顎関節症治療薬候補物質の探索2019

    • 著者名/発表者名
      廣瀬尚人
    • 学会等名
      第32回顎関節学会総会・学術大会(東京)第6回アジア顎関節学会
    • 国際学会
  • [学会発表] 顎関節治療の新たな知見2019

    • 著者名/発表者名
      廣瀬尚人
    • 学会等名
      香川県保険医協会主催医科歯科合同セミナー(香川)

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公開日: 2021-01-27  

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