研究課題
ライフ・イン京都入居者193名(平均87.1歳)を対象として、2023年5月に質問紙による評価を行った。アドバンス・ケア・プランニング記録として事前指示書(終末期医療にむけての要望書)を作成したと回答したものは64.8%であった。「事前指示書記載内容についてだれかと話し合ったことがある」と回答したものは44.2%で、2021年の38.0%から増加していた。この結果から、新型コロナ感染症による行動制限が解除され、職員や親族等と会話する機会が増加していることが示唆された。激しい痛みが生じた場合の治療については、38.5%が「少しくらい痛みがのこっても会話が可能な状態を維持してほしい」と回答した一方で、33.3%は「深く眠ることになっても可能な限り痛みをとってほしい」と回答した。その他28.2%は「どちらともいえない」と回答した。2023年度に事前指示書を作成したものは新規作成と再作成の合計94名であった。「進行した認知症や老衰期などの回復困難な状態となって経口摂取が困難となった場合にどのような人工的水分・栄養方法を希望するか?」については94名中72名(76.6%)がたとえ経口摂取が困難となった場合でも「経口摂取のみ」を希望していた。ライフ・イン京都入居高齢者では、終末期において可能な範囲で水分や栄養をとる自然なケアを望むものが2009年以降増加傾向にあった。一方で94名中8名(8.5%)が、胃瘻栄養などの積極的な人工的水分・栄養方法を希望していた。エンドオブライフ・ケア全般については、あらゆる努力により生命の維持を希望されたものは1名のみであり、93名は痛みや苦痛を最小限にする治療を中心として延命処置は望まないと回答した。鎮痛剤や麻薬等で苦痛がとりきれないときに鎮静を受容するか否かについては、事前指示を補う形でのアドバンス・ケア・プランニングが重要となる。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Geriatr Gerontol Int
巻: 24 Suppl 1 ページ: 385-391
10.1111/ggi.14832
Geriatr Gerontol Int.
巻: 23(5) ページ: 341-347
10.1111/ggi.14572.