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2019 年度 実施状況報告書

推算GFR分析による慢性腎臓病(CKD)進展予防のための定量的評価スケールの開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K10649
研究機関静岡県立大学

研究代表者

荒井 孝子  静岡県立大学, 看護学部, 教授 (90405580)

研究分担者 東野 定律  静岡県立大学, 経営情報学部, 教授 (60419009)
武田 英孝  国際医療福祉大学, 臨床医学研究センター, 教授 (70245489)
池田 俊也  国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (90193200)
BABAYEV TAMERLAN  国際医療福祉大学, 医学部, 助教 (30810874)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード推算GFR / CKD / 慢性腎臓病 / クレアチニン / シスタチンC
研究実績の概要

平成21年10月9日に開設以来、令和元年7月31日の期間に、A検診施設で実施されている人間ドッグを受診した総数は18,3510例である。今回の分析では、クレアチニンeGFRの測定開始した平成24年4月からの受診者を対象にした。①一般健常者におけるeGFRの分布、加齢との関係、加齢以外の因子との実態の把握、②この複数回受診者の初回受診時と最終受診時のデータを分析した。
その結果、正常に社会生活を送っているドック受診者全体においては、加齢に伴いeGFRが低下することが明らかとなった(y= -0.6006+105.86、R2=0.2016)。各種の検査値などに対し強制投入法を行い、血清Na値がeGFRを低下させる因子として浮かび上がった。つぎに、初回受診から5年以上の間隔で受診していた受診者総数1,059例(男性424例、女性635例)について、慢性腎臓病の原因として知られる腎炎、高血圧、糖尿病、脂質異常症の既往歴の有無で分析した。全体では、5年以上の経過で初回eGFRは76.4±13.7(年齢48.8±9.7歳)が、72.2±13.5と低下していた。このうち高血圧症の既往歴あり群166例(男性41例、女性125例)では、初回eGFRは70.5±14.7が、5年以上の経過で67.6±15.6と低下していた。高血圧症なし群893例(男性383例、女性510例)ではeGFRが77.5±13.1が、5年以上経過すると73.0±12.9であった。また、高血圧群では、その他の群に比べ優位にeGFRが低下していた(p<0.02)。
今後は、全例のeGFR値を求め、さらに長期の観察値から高血圧、糖尿病、脂質異常症の単独群、複数の既往を有する群などについて、詳細にサブ解析をして、いわゆる正常生活者での腎機能低下の因子を解析してCKDを予防するための因子を明らかにしていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成21年4月~令和元年7月までに、A施設の人間ドックを受診した全例を対象に分析を進めている。このうち、平成24年4月からクレアチニン値から推算eGFRを算出し始めており、初年度はこれ以降の受診者を対象に分析した。この分析において、受診者の年齢、血圧、既往歴、生活習慣、各種検査値のうちどの因子がeGFR低下に関連するかを分析できる十分なデータを得られている。研究代表者および共同研究者や連携研究者と話し合いながら研究を進められる環境も整ってきている。CKDの経年変化を追うには、全例で受診年月日、生年月日等から正確な経過年数に整理することが重要である。加えて、eGFRが推算値として自動計算されだした時点より以前の平成21年10月から平成24年3月のデータについては、新たなeGFRの算出が必要であり、現在、推算eGFRを計算中である。この計算終了には、なお時間をかけて慎重に確認していくことが必要である。
今回の対象例データについて、初回受診時、最終受診時のデータ比較しながら解析をすすめた結果、有意な結果が一部で得られたが、サブ解析にはさらなる症例の追加が必要である。今回までの分析で有意な研究結果が得られつつあり、この研究結果を今年度の日本人間ドック学会総会ないしは日本総合検診医学会総会に発表する予定である。

今後の研究の推進方策

令和2年度は、令和元年度からの人間ドックデータの照合作業を継続して進めることが重要である。それにより、複数回受診者を正確に抽出することができ、経時的に5年以上の受診フォローを行っている例を対象として抽出し、eGFRの低下と尿タンパク出現との関係、eGFRを低下させる因子の詳細について分析できる。慢性腎臓病の原因としては、高血圧、糖尿病、腎炎の既往、筋硬化症の因子である脂質異常症などの種々の因子群に分け、eGFRの経過からどの因子が正常生活者の腎機能低下の因子として大きいかなどを明らかにしていく。さらに最終的にはこの集団をeGFRの経年変化によりeGFRが低下している例、ほぼ変化が見られなかった例の2群に分け、多変量解析を行う。いわゆる健常者において、何がeGFRの低下をきたす要因として強いかを分析する。このために1年目と5年以上の経過を経たデータを中心に分析して、背景因子を明らかにする。さらにはシスタチンCとクレアチニンによるeGFR値を比較検討して、その成果を総合的に評価し、最終的に腎機能を維持するための生活習慣指導、保健指導に有益なデータとなりうるよう解析する。

次年度使用額が生じた理由

研究代表者は、令和元年度に交付された研究費について、研究分担者に対して分担金を配分した。新たな共同研究者に対する追加配分時期が年度末に近かったこと、また、2020年1月からの新型コロナウイルス感染症流行拡大に伴う研究出張の制限により出張旅費等の残額が生じた結果として令和2年度に繰り越した、令和2年度に行う学会発表における旅費の支出および研究を実施するにあたっての旅費および少額備品等研究の遂行に必要な物品等を購入など適正に使用していく。

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公開日: 2021-01-27  

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