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2020 年度 実施状況報告書

推算GFR分析による慢性腎臓病(CKD)進展予防のための定量的評価スケールの開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K10649
研究機関静岡県立大学

研究代表者

荒井 孝子  静岡県立大学, 看護学部, 教授 (90405580)

研究分担者 東野 定律  静岡県立大学, 経営情報学部, 教授 (60419009)
武田 英孝  国際医療福祉大学, 臨床医学研究センター, 教授 (70245489)
池田 俊也  国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (90193200)
BABAYEV TAMERLAN  国際医療福祉大学, 医学部, 助教 (30810874)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード推算GFR / CKD / クレアチニン / シスタチンC
研究実績の概要

平成21年10月から令和元年7月31日の期間にA施設でドック健診を受診した183,510名のうち、複数回受診者25,669名を対象とした。今回は初回受診時データを男女別に、慢性腎臓病(CKD)の基準に使われるeGFR 60 mL/分/1.73m2 60未満の群(異常群)とそれ以上の群(正常群)について、既往歴、各種検査値を分析した。各因子(BMI、血圧、尿タンパク、空腹時血糖、HbA1c、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、non-HDLコレステロール、尿酸)など各種血液検査結果に加え、糖尿病、高血圧症、脂質異常症高尿酸血症、慢性腎不全、泌尿器系疾患、腎炎、喫煙歴などの既往歴、メタボリック判定について、カイ2乗検定、t検定を行い、有意差を認めた因子に対し、二項ロジスティック回帰分析を行った。
対象の割合は男性47.8%、女性52.2%だった。ロジスティック回帰分析にあたり、生活習慣病を背景としてどのように腎機能が低下してCKDに至るかを検討するために慢性腎不全、腎尿路系疾患、腎炎の既往歴があるものを除外した。同様にeGFRの計算式に含まれる構成因子である年齢も除外して検討した。女性の初回受診時では、高血圧症(以下調整オッズ比1.996)、尿酸(1.816)脂質異常症(1.656)が選択された(Hosmer-Lemeshow検定p=0.37、判別的中率95.3%)。男性の初回受診時分析では、高血圧症(3.137)、高尿酸血症(2.391)、脂質異常症(1.639)、尿酸(1.347)、HbA1C(1.220)、が選択された(Hosmer-Lemeshow検定p=1.01、判別的中率91.6%)。この結果より、高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症の既往、尿酸値、HbA1C値がeGFR低下に影響する危険因子であることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成21年4月~令和元年7月までに、A施設の人間ドックを受診した全例を対象に分析を進めている。この分析において、受診者の年齢、血圧、既往歴、生活習慣、各種検査値のうちどの因子がeGFR低下に関連するかを分析できる十分なデータを得られている。研究代表者および共同研究者や連携研究者と話し合いながら研究を進められる環境も整っている。
今回の対象例データについて、初回受診時、最終受診時のデータ比較しながら解析をすすめた結果、初回受診時において有意な結果が一部で得られた。さらに最終回受診時における解析、年齢階層別の解析を実施しているところである。シスタチンCとクレアチニンによるeGFR値を比較検討するにあたっては、令和2年度は新型コロナウイルス感染症拡大に伴い研究者の移動制限により新規受診者のデータの授受が容易ではなかった。しかし、その間蓄積された追加データについて補充したうえで、予定通りの検討を実施する。
今回までの分析で有意な研究結果が得られつつあり、この研究結果を今年度の日本人間ドック学会総会ないしは日本総合検診医学会総会に発表する予定である。

今後の研究の推進方策

令和3年度は、令和元年度からの解析に引き続き、複数回受診者集団における解析を実施する。すなわち、初回受診時、最終回受診時における集団特性を明らかにするとともに、集団ごとに年齢階層別、経年変化別の解析を実施する。5年以上の受診フォローを行っている例を対象として抽出し、eGFRの低下と尿タンパク出現との関係、eGFRを低下させる因子の詳細について分析する。そのうえで、この集団をeGFRの経年変化によりeGFRが低下している例、ほぼ変化が見られなかった例の2群に分け、多変量解析を行う。
同時に、eGFRcreatに加えeGFRcysを測定したケースを対象に分析する。クレアチニンから算出されるeGFRcreatとシスタチンCから算出されるeGFRcysの値はほぼ一致するが、臨床的観察や人間ドックデータから時に数値の乖離が経験される。この乖離が、筋肉量、運動量の相違によるものか否かを検討するために、BMI、体脂肪率、CPK値などの種々のパラメータとの分析により、どのような場合に乖離がみられるのかeGFR60以上と60以下に分けて検討する。また、シスタチンCとクレアチニンによるeGFR値を比較検討して、その成果を総合的に評価し、最終的に腎機能を維持するための生活習慣指導、保健指導に有益なデータとなりうるよう解析し、いわゆる健常者において、何がeGFRの低下をきたす要因として強いかを分析する。

次年度使用額が生じた理由

研究代表者は、令和2年度までに交付された研究費について、研究分担者に対して分担金を配分した。新たな共同研究者の執行の遅れ、新型コロナウイルス感染症流行拡大に伴う研究出張の制限により出張旅費等の残額が生じた結果として令和3年度に繰り越した。令和3年度に行う学会発表における旅費の支出および研究を実施するにあたっての旅費および少額備品、研究の遂行に必要な物品購入、人件費等を適正に使用していく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 人間ドックを受診した“健常者”におけるeGFRを低下させる因子の検討2021

    • 著者名/発表者名
      荒井孝子
    • 学会等名
      日本総合健診医学会 第49回大会

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公開日: 2021-12-27  

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