研究課題/領域番号 |
19K10731
|
研究機関 | 日本赤十字広島看護大学 |
研究代表者 |
渡邊 智恵 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 教授 (00285355)
|
研究分担者 |
西上 あゆみ 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (30285324)
藤井 知美 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 講師 (30734008) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 復興感 / 災害 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、風水害後の被災者の復興過程とともに復興感に影響するものを明らかにすることである。支援者側の立場で、被災者の復興感をインタビュー調査するため、広島土砂災害、平成30年7月豪雨災害等の被災者に対して支援活動を3カ月以上展開している団体や組織に対してインタビュー調査をすることにした。昨年度から取り組んでいるが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、現在までに2名の協力に留まっている。 そこで、これまでの先行研究を基盤として、災害後の復興感に影響する要因を明らかにする文献検討に取り組むことにした。文献は2021年1月に医学中央雑誌、メディカルオンライン等で、「復興感」をキーワードに用いて全年検索し62件を対象とした。分析方法は、文献の種類、災害種、研究方法について分析し、復興感の定義については内容を分析した。 その結果、文献の種類別では、研究論文45件、短報10件、解説7件であった。災害種別は地震・津波56件、風水害2件、噴火災害2件で、複数の災害を扱っている文献があった。研究方法は、量的研究45件、質的研究9件、その他8件であった。調査時期は、3~4年後が一番多く21件で、最短は5か月後で最長は16年後であった。復興感に影響する要因としては、個人特性(年齢・性別)、被災状況、住まい状況の変化、心身の健康状態、家族状況の変化、仕事状況の変化、人間関係の変化、自分の住む町への愛着、暮らす町全体と周辺の復興状態、生活の状況、経済状況の変化、自立と互助の精神、被災者という認識、時間の14カテゴリーを抽出した。海外の災害からの復興感に影響する要因には、内戦状態、宗教ということが影響をしていたことが明らかになった。そのため、被害状況に配慮した支援や、生活や健康を個別に支援することと同時に地域全体の復興を促進することが被災地の人々の復興感を促進することが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度からの継続でインタビュー調査を計画していた。インタビューの日程調整後に、新型コロナウイルス感染症の感染が再燃したため、現在は中断を余儀なくされている。現時点では、研究対象候補者4名に対して2名終了し、2名は再調整となっており、新型コロナウイルス感染症の収束のタイミングを計りながら連絡を取ることにより、少しずつ調査件数を増やすことを予定している。 この期間に、62件の先行研究から文献検討を行い、災害後の復興感に影響する要因を抽出することができたことは成果があったため、「やや遅れている」とした。
|
今後の研究の推進方策 |
インタビュー調査期間を2年間延長しており、さらに複数の研究対象候補者には内諾を得ている状況があり、新型コロナウイルス感染症の感染状況が落ち着いた時点で、受入側の同意が得られた場合にすぐに調査ができるよう準備をしている。なお、その状況をみながら、インタビュー調査が不可能であれば、自由記述方式のアンケート調査に変更することも検討していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の収束状況によるが、次年度もインタビュー調査を継続することになり、可能であれば支援者型と被災者側の両方の調査が実施できるように、調査経費(交通費、調査謝礼、データ入力費)等を計上する。安全に調査ができない場合には、調査方法(アンケート調査になる場合は郵送費等)を検討したいと考えている。
|