研究成果の概要 |
エストロゲン欠乏環境で歯周炎を惹起した歯周炎罹患歯肉組織に軽度な機械刺激を与え,組織の状態を観察した。8週齢24匹のOVX群と6匹のSham群ラットを使用しOVXは①普通飼料②大豆由来イソフラボン含有飼料③E2ペレット群に分けた。 歯周炎の惹起にはP.gingivalisを使用し60日後,電動歯ブラシにて下顎中切歯間部歯肉と舌片側にブラッシングを1分間行い,3時間後に4%PA/PBS溶液にて灌流固定した。 損傷細胞の標識抗体にはC-Fosを用いた。C-Fosは,感染ブラッシング群歯肉と舌筋の上皮と上皮直下に豊富に観察されたがOVX群とSham群との損傷レベルに明瞭な差は認められなかった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
歯周炎の罹患率は40歳以降から急速に上昇するが, 特に閉経前後に増加傾向となる病態機構について, エストロゲンの減少が直接影響しているか否かは未だに解明されていない。 骨粗鬆症との関連性が報告されているが現段階では,あくまで憎悪因子の一つという位置づけとなる。一方, 歯周炎の直接因子と考えられている加齢に伴う唾液分泌量の減少がエストロゲン補充により軽減すると多数の報告があり, エストロゲン欠乏は種々のリスク因子上昇に確実に関与しているといえる。 本課題の意義は実験的に歯周炎を惹起させたOVXラットを使用しエストロゲン補充が歯周炎の進行に直接関与するのか否かを解明する事である。
|