研究課題/領域番号 |
19K10864
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
江尻 晴美 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (60515104)
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研究分担者 |
篠崎 惠美子 人間環境大学, 看護学部, 教授 (50434577)
伊藤 千晴 人間環境大学, 看護学部, 教授 (20434574)
山口 直己 豊橋創造大学, 保健医療学部, 准教授 (70434579)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 集中治療後症候群 / PICS / ICU / 看護師 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、集中治療室(ICU)で治療を受けた患者を看護する看護師が、集中治療後症候群(post intensive care syndrome)を早期発見するためのアセスメントツールを開発することである。 2020年度の研究実績としては、システマティックレビューに基づいて作成され内容妥当性の確認された「PICSアセスメントツール」の評価者間信頼性を確認した。評価者間信頼性の評価は、経験年数1年以上の看護師を対象にして調査を行い、κ係数を算出した。さらに、正答率の低かった項目を確認して、項目の削除や構成を修正するなどPICSアセスメントツールの洗練を行った。 PICSアセスメントツールの洗練を行った後、さらに、複数の急性期病院のICUにおいて、48時間以上気管挿管している患者をICU経験1年以上の看護師が観察して、PICSアセスメントツールの試用をした。記載されたPICSアセスメントツールは、カルテ内容と照合して記載の内容を確認した。また、所要時間ならびに、使用した所感を調査した。その結果、PICSアセスメントツールの所要時間は8分程度であり、内容や質問数は妥当であると回答を得た。また、カルテに記載されていない患者の症状がPICSアセスメントツールにて確認できており、作成したPICSアセスメントツールの実用可能性を確認することができた。 今後は、PICSアセスメントツールを使用する施設を募集して、複数の施設でICU患者を観察したうえでPICSアセスメントツールを使用して、チェックされた項目数とPICSの発症について関係を確認する必要がある。さらに、ICU看護師がPICSアセスメントツールを使用することで、PICSを早期発見できたのかを確認する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究者間でコミュニケーションを良好にはかり、各自の役割を着実に果たして研究を実施することで、研究が概ね順調に進展していると考えている。 信頼性の評価と実用可能性の評価を行ったが、対象者を設定した研究では、積極的に施設の研究担当者とコミュニケーションをとることができた。 2020年度は、新型コロナウイルス感染拡大が懸念され、病院内での調査開始がやや遅れたが、感染状況を把握しつつ施設と連携をして、調査開始後は順調にデータ収集ができた。 ただし、成果発表の機会が大幅に減ってしまった。また、海外(北欧)へのPICSへの継続支援を行っている機関の視察を予定していたが、中止をせざるを得ない状況であった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度までに、信頼性と妥当性を確認できたPICSアセスメントツールを作成することができた。また、実用可能性の検証を行うことができた。 今後は、PICSアセスメントツールを使用する施設を募集して、複数の施設でICU患者を観察したうえでPICSアセスメントツールを使用して、チェックされた項目数とPICSの発症について関係を確認する必要がある。さらに、ICU看護師がPICSアセスメントツールを使用することで、PICSを早期発見できたのかを確認する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大により、予定していた海外での学会発表や集中治療を受けた患者の回復支援を行っている海外(北欧)の施設視察が中止になってしまった。 そのため、次年度には国際雑誌投稿に向けた準備としての費用や、国内学会等での予算使用を予定している。
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