研究課題/領域番号 |
19K10864
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
江尻 晴美 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (60515104)
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研究分担者 |
篠崎 惠美子 人間環境大学, 看護学部, 教授 (50434577)
伊藤 千晴 人間環境大学, 看護学部, 教授 (20434574)
山口 直己 豊橋創造大学, 保健医療学部, 准教授 (70434579)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 集中治療後症候群 / PICS / ICU / 看護師 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、集中治療室(ICU)で治療を受けた患者を看護する看護師が、集中治療後症候群(post intensive care syndrome: PICS)を早期発見するためのアセスメントツールを開発することである。 2021年度は、開発したPICSアセスメントツールを臨床で活用してICU看護師がPICSを早期発見できたのかを確認し、PICSアセスメントツールの臨床実用を目指すこととしていた。現在、2施設でPICSアセスメントツールの導入を依頼しており、1施設で試用を開始している段階である。 新型コロナウイルス感染症の拡大のために、集中治療室では通常とは異なる重症患者への対応が必要とされ、ICU看護師は多忙を極めた。そのため、看護師の精神的・肉体的な負担が大きく、PICSアセスメントツールの試用の依頼に応じてもらえる施設が少なかった。また、研究依頼のための責任者との面談も困難であり、十分な数のデータ収集に至っていない。そのため、2022年度には引き続きPICSアセスメントツールの試用に向けて、積極的な施設への依頼を行い、臨床での適用を検討することとする。 なお、研究代表者は2022年6月には集中治療室看護師が多く参加する日本クリティカルケア看護学会でのシンポジウム(一歩進んだPICSケア 患者が入院前の生活を取り戻すために私たちができること)でのシンポジストとしての登壇が決定している。ここでのPICSアセスメントツールの開発過程と施設での試用の現状を発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症により時期的に患者数や重症患者が増えるなど、収束の見通しがつかない状況が続き、ICUでは新型コロナウイルス感染症による重症患者も多く入院している。そのため、院内感染や医療者への感染後防ぐゾーニングや感染対策の徹底により、看護師は身体的にも精神的にも疲労が大きい。また、看護師の一時的な応援体制が敷かれたり、研究者による施設への依頼や面会の時間や制限もあり、PICSアセスメントツールの試用に向けた準備が整っていないのが現状である。 ICUでは、特に新型コロナウイルス感染症による影響が大変大きいために、2021年はデータ収集ができずに研究の進捗計画通りに行かずに遅れてしまったが、今後の感染状況を見極めて施設と連携をとりながら、2022年は引き続き臨床での試用を行う予定である。 研究成果の中間発表においては、研究者間でコミュニケーションを図りながら2021年までに行ったデータ収集の結果をまとめて、中間発表を行うことができている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年は、研究協力施設に対して新型コロナウイルス感染症による重症患者の入院状況を確認しつつ、PICSアセスメントツールの試用について依頼を試みる予定である。研究者間でそれぞれ依頼を行い、試用施設を増やすことで、データ収集を行い結果を検討する予定である。 また、ICU看護師が多く参加する日本クリティカルケア看護学会では、代表者がシンポジストとしての登壇が決まっているために、試用を希望する施設を積極的に募り、全国的な試用を行う予定である。そして、ICU看護師がPICSアセスメントツールを使用することで、PICSを早期発見できたか、使用する上での課題などを検討する予定である。 これまでの成果については英語論文の作成を計画しているため、研究者間で具体的な投稿先なども検討する予定である。 そのほか、PICSアセスメントツールの試用の結果についても、積極的に国内外で発表することを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大のために、ICUにおいてPICSアセスメントツールの試用を依頼することがほぼできなかった。また、依頼をしてもお断りをされることが続いた。そのため、データ収集に伴う印刷費や出張の支出が少なかった。国内外で開催される学会も多くがオンラインとなり、出張費用を抑えることができた。 2022年度は、PICSアセスメントツールの試用について、新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況を注意深く確認しつつ、積極的に研究協力施設に依頼を行う。研究者間で研究依頼や確認なども行いながらデータ収集を進める予定であり、施設への出張費用や打ち合わせのための必要とする。また、データ収集の結果をまとめて国内外の学術集会で発表したり、英語論文として発表する予定であり、費用を充てることとする。 そのほか、研究者間でミーティングを重ねて、より分かりやすい国民に向けての情報開示の1つとしてホームページ立ち上げを計画している。
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