研究課題/領域番号 |
19K10873
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
大桑 麻由美 金沢大学, 保健学系, 教授 (30303291)
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研究分担者 |
藤野 陽 金沢大学, 保健学系, 准教授 (40361993)
真田 弘美 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (50143920)
臺 美佐子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任講師 (50614864)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 振動 / 透析 / PAD / CKD |
研究実績の概要 |
本邦では糖尿病をはじめ、さまざまな病因により腎不全患者が増加し、透析療法を導入される患者が増加している。ことに末梢動脈疾患患者が増加し、動脈硬化の進行による動脈石灰化は血管狭窄や閉塞を招き、間歇性跛行や、安静時痛さらには、末梢壊疽などの重症虚血肢へと進行するため、患者は著しいQOL低下を招く。間歇性跛行の治療はガイドラインが推奨する治療戦略のもと血行再建などの治療が行われている。また運動は側副血行路形成の期待があり、運動(歩行)をすすめている。しかしながら透析療法を受ける患者は、透析療法に日々一定の時間を費やし、透析前後の体調によっては適切な運動を取り入れる事が難しい。この課題に対し、我々は振動器を用いた振動ケアを行う。振動ケアが「適切な運動」を補うような状況となれば、制限の多い透析療養生活の中で、負担感なく取り入れることが可能となる。従って、患者の下肢末梢循環の維持・促進に振動ケアが有効な手段であるかを検証することが、本研究の目的である。 研究デザインは縦断的観察研究とする。対象者の包含基準は、成人下肢PAD患者である。振動器によるマッサージ実施は、1日1回15分間を行うとする。透析患者群は、透析療法実施日は透析室にて、非透析療法実施日は自宅で行う。透析療法を行わない患者は、毎日自宅で行う。実施期間は外来受診のインターバルにあわせ、2ヶ月~6ヶ月とし、2ヶ月ごとに実施状況を確認する。調査項目は、対象者基礎情報、下肢末梢循環状態、QOLである。データ収集方法は、分析は対象者の現病歴・既往歴により、振動器によるマッサージの末梢循環促進効果に主観的および客観的に違いが生じるかを検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は臨床研究であり、対象者は透析療法を受ける患者である。調査開始前にCOVID-19感染症拡大があり、外部者の立ち入りが禁止となり、研究者は施設関係者ではなく計画は中断している。 臨床の最優先は患者の感染予防であることから、今後も状況に応じた対処が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19感染症の収束状況、医療現場の研究に対する受け入れ態勢が整わない限り調査再開は考えにくい。 再開に向けての準備は常に整えておく。メインアウトカム指標である下肢末梢循環状態については、当初は経皮酸素分圧のみを考えていたが、これの欠点として、測定時間が比較的長くなることであり、臨床での調査時に「負担感」を催す可能性がある。別の指標も考え、エコーによる下肢血管撮像を考え、その技術習熟度をあげ、その負担感を軽減するなど、対策を講じる。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)調査対象施設が複数個所を想定していたこともあり、測定機器(経皮酸素分圧)の複数購入を考えていたが、調査は中断しており、経皮酸素分圧測定器の購入は取りやめた。またこの測定機器は指標としては有用であるが、測定に多少時間がかかることを考慮し、今後の調査再開時に、臨床の負担感なく測定できる指標を追加する必要性を感じたため、エコーによる下肢血管撮像を取り入れることとし、購入した。 近年ポケットエコーは進化し、利便性が高まっている。振動ケアの効果を定期的に評価する際に用いる。もし複数施設での調査となっても、経皮酸素分圧測定器のように据え置く必要はないため、ポケットエコーの所有は1台でよいと考えている。 (計画)次年度使用額と当該年度以降分として請求する助成金を合わせて、主に物品費として測定機器の消耗品の購入および、その他測定機器のメンテナンス費用を確保する。また、旅費として成果報告のための関連学会参加を考えている。
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