研究課題/領域番号 |
19K10918
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研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
小笠 美春 同志社女子大学, 看護学部, 准教授 (70544550)
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研究分担者 |
當目 雅代 同志社女子大学, 看護学部, 教授 (20259435)
天野 功士 同志社女子大学, 看護学部, 助教 (40756194)
森島 千都子 同志社女子大学, 看護学部, 助教 (80735879)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 転倒・転落 / 危険予知 / 整形外科患者 / 視線計測 |
研究実績の概要 |
進行が遅れていた「転倒・転落危険場面における看護師の認知プロセスの明確化」を継続した。整形外科患者の転倒・転落危険場面の画像を作成するために、整形外科病棟の臨床経験がある熟練看護師へのインタビュー調査の結果を分析した。 ①整形外科患者の転倒・転落危険場面:全員の熟練看護師が、「移動・移乗」を挙げており、具体的には〈ベッド-車椅子移乗〉〈トイレ-車椅子移乗〉〈術後の離床〉等が抽出された。 ②転倒・転落を予測するための事前情報:熟練看護師が患者を訪室する前に収集する情報は、「術前のADL」「現在のADLと前勤務者の介助の方法」「安静度の指示」「障害のある部位」「症状の程度(神経症状、貧血、疼痛、筋力低下)」「健側の状態」「遠慮気味な性格」等であった。 ③転倒・転落を回避するための観察:熟練看護師が患者を訪室した際の観察項目は、環境要因として「ベッド柵の位置」「物品(ナースコール、履物、車椅子、日用品等)の配置」「オーバーテーブルのロック」「安全に動くためのスペース」等であり、患者要因として「具体的な体の動かし方」「転倒リスクに対する理解度」「バランスや姿勢」「下肢の挙がり具合」等であった。 ④整形外科病棟で転倒・転落しやすい患者:熟練看護師が転倒・転落しやすいと捉えている患者は、「膝関節手術患者」、「荷重制限のある患者」、「離床開始して間もない患者」、「転倒リスクの理解が低い患者」であった。 転倒・転落の優先度の高い予測因子として、熟練看護師全員が「筋力」と「年齢」を挙げており、転倒・転落危険場面の画像は、【膝関節手術後、トイレ歩行開始されて間もない期間にある高齢患者】とすることに決定した。さらに、各場面においては、環境要因、患者要因を反映した画像構成とすることにした。現在、熟練看護師の認知プロセスを明らかにする視線計測の実施に向け、視線計測装置に組み込む画像撮影中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
インタビュー調査の被験者となる熟練看護師の確保に苦渋した。予定では被験者は5名を予定していたが、2020年度まででデータ収集完了していた4名で調査を終了することとした。そのため、インタビュー調査の分析と次の段階への取りかかりが遅れた。インタビュー調査の分析の結果、内容としては十分な成果が得られたため、視線計測に必要な転倒・転落危険場面の画像作成を完了し、熟練看護師の視線データ収集に着手していく。
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今後の研究の推進方策 |
7月末ごろまでを目標に、転倒・転落危険場面の画像を視線計測装置に組み込む。8月から9月にかけて、熟練看護師を対象に視線計測によって、転倒・転落危険場面における認知プロセスのデータを収集する。視線計測の対象は10名としているため、機縁法を用いて効率的に対象者を確保するように努める。視線計測のデータの収集が完了次第、分析を完了し、「熟練看護師の認知プロセスに基づいた転倒・転落危険予知シナリオ素材の作成」に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:研究の進行が遅れており、それに伴い研究費の執行も滞っている。2021年度は、熟練看護師の視線計測まで至らなかったため、それに伴う物品購入と謝礼支払いがなかった。また、情報収集のために参加予定であった学会がオンライン開催となり、旅費が発生しなかった。 使用計画:2022年度は熟練看護師の視線計測を実施するため、対象者への謝礼の支払いを行う。また、視線計測やアンケート調査に必要な物品を購入する。さらに、データ収集後には、視線データ分析に精通した研究補助者を雇用し、謝礼の支払いを行う。
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