研究課題
在日ベトナム人及びネパール人を中心とするアジア系女性外国人働者のリプロダクティブヘルスに焦点を て、母子の健康行動と受療行動の現実を、労働環境や生活環境との関連から明らかにする。そしてさらに、疾病予防、あるいはリプロダクティブヘルスの視点から、当事者のみならず、周囲への働きかけに向けた実践研究である。在日外国人女性労働働者のリプロダクティブヘルスが侵害されている要因を、個人の嗜好性や選択に求めるのではなく、社会構造において正式な労働者として位置付けられていない女性たちのリプロダクティブヘルスに関する問題として、いわば国際的な労働保健の問題として捉えようとする試みである。最終年度は、これまでCovid-19感染流行にて実施できていなかった外国人移民政策の進んでいる豪州における難民・移民へのリプロダクティブヘルスプログラムの実際、ベトナムやネパールから移住した当事者への聞き取り等を行った。また、在日ベトナム/ネパール人の調査からは、コロナ禍における経済的課題や情報アクセスの混乱、出産育児期における母国からの家族支援を受けにくい、受診行動の抑制や受診拒否、保育所の活用困難などの状況がみられた。また、医療行動としての受診や内服について、母国と日本との医療サービスや医療文化の違いによる困難とレジリエンスの状況が家族および知縁ネットワーク(SNSを含む)の活用を中心に彼らの生活実践の中で浮き彫りになった。現在、成果発表への準備を進めているところである。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Rougledge New Horizons in South Asian Studies: Life, Illness, and Death in Contemporary South Asia
巻: 1 ページ: 117-135