研究課題/領域番号 |
19K11036
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
櫻井 育穂 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (30708516)
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研究分担者 |
丸 光恵 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (50241980)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 移行期支援 / 思春期・青年期 / 小児慢性特定疾患 / 子ども / 家族 / transition / 移行医療 |
研究実績の概要 |
10代の小児慢性疾患患者と家族の移行における心理社会的ニーズと、それに対する医療者の支援を明らかにし、患者家族中心の移行期支援における医療者向けの教育プログラムを開発・実施・評価する研究を行っている。2020年度は、医療機関における10代の小児慢性疾患患者と家族への移行期支援の実態を明らかにするため、アンケートによる全国調査を実施した。調査項目は、研究対象者および施設の概要、①10代患者の移行期支援および成人型医療への移行に関する医療体制、②移行期支援の実際、③成人医療への移行を妨げている要因等であった。結果は、総配布数494部、回収数225部(回収率45.5%)であり、回答者は、医師199名(88.4%)、看護師26名(11.6%)であった。上記①については、成人診療科への移行(転科)は8割以上であるものの、成人診療科と協働しているのは約5割弱で、移行プログラムを支援に活用しているのは約2割にとどまった。さらに、上記②は、「家族の小児科への感情的依存」が最も多く、次いで「成人科で対応する診療科の欠如」、「患者の小児科への依存」、「患者の知的障害」他であった。このことから、移行期医療の現状は10年前を比して、成人科への転科は進んでいるものの、患者家族への移行準備や転科後のフォローが不十分な可能性が示唆された。また、移行を妨げる要因として、患者家族の小児科への依存はあるものの、新たに成人診療科の受け皿不足等の課題が明らかとなった。上記③では、自立支援は個々の状況に応じて実施できているものの、思春期保健に関する指導ついては行えていない現状が明らかとなった。今後はこれらの課題を踏まえて患者家族中心の移行期支援における医療者向けの教育プログラム開発を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度の調査結果について分析は終了しているものの、公開がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、移行医療および移行期支援に関する全国調査を実施し、10年前調査と比較し医療者の支援の変化を明らかにした。2021年度は、成人移行期にある患者家族の移行における心理社会的ニーズと、それらに対する成人診療科の医療者の支援を明かにし、教育プログラム開発に活かしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症における全国調査の実施が遅れたことで、2020年度調査準備予定の経費については2021年度に使用予定である。また、学会の中止や遠隔での会議となったことで旅費・会議費の使用が無くなった。2021年度については調査旅費として使用予定である。
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