研究課題/領域番号 |
19K11131
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
小川 宣子 摂南大学, 看護学部, 講師 (60737469)
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研究分担者 |
西脇 雅人 大阪工業大学, 工学部, 講師 (10635345)
中村 友浩 大阪工業大学, 工学部, 教授 (30217872)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高齢者 / 外出行動 / 介護予防 |
研究実績の概要 |
本研究は、GPSロガーと活動量計での外出「量」と質問紙での外出「内容」評価の両面から、地域在住高齢者の外出行動の評価手法を考案し、健康を維持するために必要な外出行動基準を新規開発することを目的としている。2019年度は、外出行動基準開発の基盤となる地域在住高齢者の客観的な外出行動の実態を把握する目的で調査を実施した。550名のデータ収集ができ、1週間の活動量計による身体活動量の測定とGPSロガーによる生活行動範囲の測定、質問紙による日常の外出行動(外出目的・内容・手段・頻度)を把握し、身体機能の評価(体力テスト・動脈スティフネス・認知機能)や、心理・社会的健康の評価(老年期うつ検査・日本語版Lubben Social Netwark Scale短縮版)も行った。2020年度は、取得したデータから健康指標に関連のある外出行動の定量化と特定の検討を行った。まず、外出行動はGSPロガーにより取得した情報から外出時間や外出範囲をデータ化し、データ解析から妥当性の確認を行った。高齢者の外出行動の特性を確認したのちに、外出行動と健康指標との関連について統計解析を行った。結果から、外出行動の地域特性に関する検討を学会で報告した。今後、客観的に測定した外出時間や外出範囲と各健康指標との関連についての分析より明らかになった結果を学会発表及び学術雑誌への投稿を行う予定である。2021年度は、2019年度に調査を行った高齢者を対象に追跡調査を行い、身体機能、心理社会的健康の再評価をする。外出行動や身体機能測定値の経時的変化から、外出行動と健康指標の関連を検討する予定である。COVID-19の感染拡大の懸念があるため、少人数での測定会の企画や感染対策を十分に行い、慎重に計画する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は、外出行動のデータ化を慎重に検討したため分析開始までに時間を要したが、測定した外出行動と健康指標との関連については分析が進められている。外出行動と関連する健康指標のうち、認知機能と抑うつについて注目し、健康を維持するための基準について検討を行っている。2021年度に実施する追跡調査について、すでに協力者への依頼準備を進めており、COVID-19感染予防を徹底した方法での調査を計画している。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね順調に計画が進行していることから、研究計画は変更せず進めていく。2020年度に検討した外出行動と健康指標の関連についての結果から身体機能や認知機能の維持、抑うつ予防をするための外出行動を特定し、健康を維持するための外出行動の基準作成を目指す。また、学会で公表するとともに論文投稿を行う。当初、研究計画を立案した際には予測できなかったが、2020年度よりCOVID-19感染拡大が生じ、2021年度も感染予防のための外出自粛が継続している。外出の機会が減ることで高齢者の健康状態に大きな影響が生じていることが推測され、外出行動を抑制する因子やその程度は地域差や個人差があることから、そのような因子をどう加味して外出行動の基準を作成していくかを今後検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染拡大により研究活動の制約が生じることが予測されたので、データ解析を迅速に進めるため、位置情報のデータ化の一部を専門業者に委託した。このため、前倒し支払い請求を行ったが、予定よりも余剰が生じた。来年度は、密を避けた会場の準備や人員配置を増やすなどして追跡調査を行う予定である。また、海外への論文投稿を行うため、英文校正に使用する予定である。
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