本研究は、GPSロガーと活動量計での外出「量」と質問紙での外出「内容」評価の両面から、地域在住高齢者の外出行動の評価手法を考案し、健康を維持するために必要な外出行動基準を新規開発することを目的としている。2019年度は、外出行動基準開発の基盤となる地域在住高齢者の客観的な外出行動の実態を把握する目的で調査を実施した。550名のデータ収集ができ、1週間の活動量計による身体活動量の測定とGPSロガーによる生活行動範囲の測定、質問紙による日常の外出行動(外出目的・内容・手段・頻度)を把握し、身体機能の評価(体力テスト・動脈スティフネス・認知機能)や、心理・社会的健康の評価(老年期うつ検査・日本語版Lubben Social Netwark Scale短縮版)も行った。2020年度は、取得したデータから健康指標に関連のある外出行動の定量化と特定の検討を行った。まず、外出行動はGSPロガーにより取得した情報から外出時間や外出範囲をデータ化し、データ解析から妥当性の確認を行った。高齢者の外出行動の特性を確認したのち、外出行動と健康指標との関連について統計解析を行い、外出行動の地域特性に関する検討を学会で報告した。2021年度は客観的に測定した外出時間や外出範囲と各健康指標との関連について検討し、特に認知・心理指標との関連に着目した。2022年度は客観的に測定した外出行動と認知・心理指標との関連について学会発表した。また、COVID-19感染拡大のために延期していた追跡調査を小規模で企画し、2019年度に調査を行った高齢者を対象にして一部実施した。外出「量」と外出「内容」の程度が認知・心理的課題に及ぼす影響を検討し、学術雑誌への投稿準備を行った。
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