研究課題/領域番号 |
19K11252
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
山地 佳代 大阪府立大学, 看護学研究科, 講師 (80285345)
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研究分担者 |
長畑 多代 大阪府立大学, 看護学研究科, 教授 (60285327)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 認知症 / アドボカシー / 高齢者施設 / 日常生活支援 / ガイドライン / 尺度開発 |
研究実績の概要 |
今年度は、先行研究によって開発した「高齢者施設で暮らす認知症高齢者の日常生活支援におけるアドボカシーガイドライン」の効果的な活用方法の開発と、その検証方法を設計した。初めに、認知症高齢者ケアに関するスタッフ教育について国内外の先行研究を検証した。その結果を基に、高齢者施設で働くケア専門職が日常生活支援を行う際に認知症高齢者の権利を守り意思決定を支援するアドボカシー実践力を高めるため、開発したガイドラインを有効活用する、3回の研修会から構成される研修プログラムを作成した。次に、その効果を検証するため非ランダム化比較試験を設計した。さらにアウトカムを測定するための適切な尺度がみあたらなかったため、評価尺度の開発に取り組んだ。 評価尺度については、高齢者施設で暮らす認知症高齢者の日常生活支援におけるアドボカシーガイドラインの小目標をアイテムプールとして尺度原案を作成し、高齢者施設に勤務する看護職と介護職等へのプレテスト、及び老年看護学研究者との専門家会議を経て「認知症高齢者の権利を守る日常生活支援尺度(案)」を作成した。デモグラフィック項目及び、基準関連妥当性を検証するための介護保険施設で働く看護職の道徳的感受性尺度を合わせて構成した質問紙調査票を作成した。全国の特別養護老人ホームと介護老人保健施設に勤務する看護職と介護職に無記名自記式質問紙調査結果を実施し、965件を分析の対象とした(有効回答率58.6%)。現在、尺度の信頼性および妥当性の検証段階である。また、研修プログラムに関しては、新型コロナウイルス感染拡大状況や、それに伴う高齢者施設職員の疲弊状況などを鑑み、予定していた介入計画を一旦保留し、プログラム内容を再検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研修プログラムの作成、及びその検証方法の設計までは順調に進捗した。尺度開発のための質問紙調査依頼を、2020年1月29日より発送したが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の時期と重なったことが影響していると思われる回収数不足があった。そこで追加発送を行い、回収締切り期日を予定よりも延長させた。その結果、十分な回収数は得られたが、年度内に分析を終えることが間に合わなかったため、やや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題2年目にあたる2020年度は、まず現在分析途中の「認知症高齢者の権利を守る日常生活支援尺度」の信頼性と妥当性を検証する。また、開発した介入計画を実施する予定であったが、依頼予定の高齢者施設が新型コロナウイルス感染症対策のために多忙を極めているため、調整自体、保留としている。今後は新型コロナウイルス感染症の拡大状況を見極めつつ、高齢者施設で暮らす認知症高齢者の権利を守るアドボカシーに貢献できるよう、研修プログラムを見直すなど、新しい方法について再検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
全国規模の郵送質問紙調査の印刷や封入、発送、回収などの作業補助として学生アルバイトを雇用する計画を立てており、実際6名と雇用契約手続きを行って発送準備作業を依頼していた。しかし新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、学生の通勤を早々に中止し、短期間での契約終了としたため、計上した予算より使用額が低くなった。当該助成金については、データ整理補助として雇用している在宅ワークが可能な事務職員に、倫理的に可能な範囲でのデータ整理を依頼して使用していきたい。
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