本研究は、訪問看護における別居介護者への効果的な支援方法を示した「別居介護者支援モデル」を構築し、その妥当性を検証することを目的とした研究である。2022年度は、研究の第3段階として実施した質問紙調査のデータ分析を行った。最終的に訪問看護師152人(回収率61.0%)、別居介護者116人(回収率46.6%)から返送があった。別居介護者の定義に該当しないもの、介護負担尺度項目に欠損のあるもの、訪問看護師の支援項目に欠損のあるものを除き、訪問看護師149人、別居介護者104人の回答を分析対象とした。訪問看護師と別居介護者双方から回答があり、マッチングできたのは92組であった。別居介護者の年齢は50~60歳代が80.7%であり、男性31人(29.8%)、女性73人(70.2%)であった。介護負担尺度(J-ZBI)得点は平均28.9点であり、抑うつ症状を呈する可能性のある25点以上のものが56人(53.8%)を占めた。自由記述内容を分析したところ、別居介護に伴う負担として、「自宅と高齢者宅の往復」「すぐに駆け付けられない」「2つの家庭の維持」「高齢者の状況の把握が困難」などがみられ、サービスへの要望として「通院の同行」「ちょっとした生活支援」「交通費の補助」などが挙がった。訪問看護師による支援モデル項目の実施状況と、別居介護者の介護負担感との関連は十分とは言えなかったが、別居介護者の介護負担の現状について明らかにすることができたため、今後は、介護負担の現状を踏まえて支援モデル項目の精選を図っていく必要がある。
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