研究実績の概要 |
日本では高齢社会に突入しており、人口減少も後押しし、ついに65歳以上の人口が全体総人口 に占める割合(高齢化率)も 28.8%となった。この高齢社会である我が国にとって、社会・経済活動を維持・成長させるためには健康寿命の延伸が喫緊の課題であり、要介護・要支援者数を増加させる主たる原因の運動器疾患予防対策は欠かせない。そこで、本研究では大規模な運動器検診実施による縦断研究と、運動と栄養の介入研究を実施した。 縦断研究として実施している市民の運動器検診において、2021年度は、2019年終わりから始まったコロナウイルス感染症(以下、COVID-19)対策の影響を引き続き受け、運動器検診の実施自体に制限がかかり、514人の参加を得たが、コロナ前のようなサンプル数を収集することができなかった。COVID-19前後の参加者年齢に有意な差はみらなかった。 宮崎県内の60歳以上の男女で、基本チェックリストの運動器関係の5項目において3点以上に該当した市民を対象に、3か月間の介入研究を実施。3点以上に該当し、研究参加に同意を得た後、3群(食品+運動介入群、運動介入群、対照群)に割り付けを行い、調査開始時と3か月後に運動器検診を実施た結果、今回の研究で同意を得たのは245人。有効解析対象者は209人で、対照群73(男性=13, 女性=60)、運動介入群69(男性=10, F女性=59)、栄養+運動介入群67(男性=13, 女性=54)であった。本研究において、運動機能低下をきたした高齢者に対して、「ロコモコール」を利用したロコモーショントレーニングはロコモ関連指標の改善に有用であった一方、運動介入のみでは筋肉量の減少がみられた。一方乳酸菌含有高タンパク質試験食品摂取により筋肉量減少が抑制された。運動機能低下をきたしている高齢者にとって運動介入のみでなく継続的な栄養摂取が有用であった。
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