研究課題/領域番号 |
19K11485
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研究機関 | 佐世保工業高等専門学校 |
研究代表者 |
吉塚 一典 佐世保工業高等専門学校, 基幹教育科, 教授 (10220691)
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研究分担者 |
濱田 臣二 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科, 教授 (10228538)
大山 泰史 佐世保工業高等専門学校, 基幹教育科, 講師 (40636924)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 登山事故 / 月間登下降距離 / 登山体力 / ランニング距離 |
研究実績の概要 |
登山は近年、中高年者を中心に人気のスポーツ種目となっている半面、毎年多数の重大事故が発生している。登山事故の大きな要因のひとつである大腿四頭筋の疲労がマラソン走行時の疲労と類似することから、マラソン練習の走行距離やコースの上下降高度を活用することで、登山体力の推定方法を構築することが本研究の目的である。 本年度の研究計画では、レベル2,3,4のマラソン練習を実施し、昨年のレベル1の結果と比較することで、走行距離、月間登下降量、走速度などの要素の重みづけを検討する計画であったが、新型コロナウイルス感染拡大により、実験自体を実施することができなかった。 このため、本年度は資料や知見の収集とともに、昨年度実施した研究結果を論文にまとめることに注力した。本年度の実績は「登山愛好者の月間登下降距離に関する事例報告」、「週7~15kmのランやウォークが登山体力および心身の健康意識に及ぼす影響」の論文発表2件である。これらの論文から、①相当な意識付けをもって事前トレーニングに臨まなければ、推奨されている月間登下降距離2000mの登山は難しいこと、②レベル1 (週に7~15km)のランニングやウォーキングを2ヶ月間実施しても、体力の一部向上は見られても、登山事故と最も関連性が高い大腿四頭筋には有意な変化が見られず、登山体力の獲得には不十分であることなどの知見が得られた。 また、登山で得られたデータを「登山ポイント」に換算する計算式や、それを行うソフト開発について、鹿屋体育大学の山本正嘉氏と検討、協議を行った。 筆者自身が被験者となって登山時のデータを収集したとともに、マイペース登山能力テストのペース感覚の獲得の成果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の実験は、基礎データを得るための実験1(レベル1~4)と、仮説を検証するための実験2の2つのステージに分かれている。本年度までに実験1のレベル4まで終える計画であったが、実験1のレベル1までしか終わっていない現状であり、研究の進捗状況は遅れている。 研究の進捗状況が遅れている理由は、新型コロナウィルスの感染拡大である。本校も学校閉鎖、部活動中止となり、社会的にも外出自粛、試合の中止となった。計画していたレベル2~4の実験は、市民ランナーにも協力を依頼していたが、被験者のランニング活動自体が難しくなったこと、さらに筋力測定などのために学外者を校内に入れることへの制約もあり、実験を実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、withコロナの研究計画を模索しながら進めていく方針である。推進方策としては、コロナの状況を確認しながら、昨年度積み残している実験部分を中心に研究を進め、検証実験の一部も並行して実施する計画を考えている。 積み残している実験1は、4段階のレベル分けを行う予定であったが、3段階に変更した上で被験者数も減らし、実験自体を少し簡略化する。また、実験1のデータを基に仮説を立て実験2で検証する計画であったが、現時点までに得られたデータや知見を基に仮説を立て、一度仮の検証を行い、その上で仮説を再検討、修正して精度を高める方法を取る。 これらのことで、研究の遅れを挽回したいと考えているが、被験者の安全や、登山事故削減という本研究の目的を果たすためには、研究期間の延長も視野に入れている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、新型コロナの影響で、今年度計画していた実験が全く実施できなかったこと、ならびに研究期間の延長を視野に入れて、意図的に経費を抑えたためである。 約70万円を繰り越したため、翌年度請求額を30万円とし、2021年は約100万円で研究を進めていく計画である。今年度の使用計画は、実験1のための物品費と謝金、実験2の検証実験に必要な旅費、物品費が主なものとなり、北九州高専、鹿屋体育大学への研究打ち合わせや資料収集のための旅費を計画している。
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