本研究の全体構想とは、幼児期運動指針等を活用したポピュレーション(集団)レベルでの社会的介入が幼児(3~6歳)の身体活動の増加、運動能力・体力向上に及ぼす効果を検証し、その実践を実社会で普及していくための包括的評価モデルを構築することである。特に、島根県雲南市の全ての就学前施設に幼児期運動指針等を活用した運動プログラムを提供し、ポピュレーションアプローチによる介入研究を実施すること、幼児の身体活動・運動能力測定を継続的にモニタリングし、経年変化を追跡すること、幼児の身体活動、運動能力向上事業のプロセス評価に有用な指標の選定および改定を行い、最終的な包括的評価モデルを開発することを目的としている。 今回、我々は雲南市幼児期運動プログラムの普及事業を対象事業とし分析を行った。運動能力・体力測定の結果からは、当該幼児期運動プログラムの普及事業は走力・跳力・投力の三技能のうち、特に投力(ソフトボール投げ)、走力(25m走)の向上に有益であったことが明らかとなった。一方で、跳力については有意な変化は認めなかった。 また、改良型RE-AIMモデル(PAIREM)の評価モデルが当該幼児期運動プログラムの普及事業のモデル化に有用であることを確認し、同モデルを用いた包括的評価モデルを作成した。
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